長引く超低金利環境の中で、いま世界の金融市場には静かに、しかし確実に不穏な足音が響いています。BNPパリバ証券の市場調査本部長である中空麻奈氏の分析によると、2020年01月17日現在、マイナス金利の解除は非常に困難な見通しです。
高齢化や貯蓄率の高まりを背景に、金利の低い状態は2030年に向けて継続する可能性が高いと推測されます。SNS上では「老後資金への不安から貯蓄に走るのも納得」「利回りが全く期待できない時代がいつまで続くのか」といった悲痛な声が目立っています。
こうした構造的な低金利の環境下では、企業にとってコストの安い負債での資金調達は当然の選択となるでしょう。結果として市場には、債務の山が急速に積み上がっています。投資家が少しでも高い利回りを追い求めた結果、市場のバランスが崩れ始めているのです。
ここで注目すべきは、投資対象の安全性を示す指標である「格付け」の歪みです。比較的安全とされるトリプルB格の債務残高は2.8兆ドルを突破しており、それ以上の高格付け債の残高を大きく上回る異例の事態に直面しています。
さらに、信用度が低く利回りが高い「ハイイールド債(高利回り債)」や、元々債務が多い企業への貸出である「レバレッジドローン」の残高は、合計で2.4兆ドルを超えました。リスクをはらんだ債務がここまで肥大化している現実に、SNSでも危機感を募らせる投稿が増えています。
誰もが気になるのは、この「債券バブル」がいつ、どのようなきっかけで弾けるのかという点ではないでしょうか。歴史を振り返れば、無理を重ねて歪んだ市場は必ず破綻を迎えます。しかし、資金の流動性が確保されている限り、すぐのデフォルト(債務不履行)は起きないでしょう。
中国の社債は2021年、レバレッジドローンは2024年に返済のピークを迎える予定です。そのため、少なくとも2020年中は破綻の引き金が引かれる可能性は極めて低いはずです。しかし、中長期的な視点で見ると、決して油断できない危険な兆候が3つあります。
第一の懸念は、企業の稼ぐ力に対して負債が大きすぎるという問題です。ハイイールド債を発行する企業の負債倍率は4.7倍にまで上昇しており、企業の財務体質が急速に悪化していることが浮き彫りとなっています。
第二に、深刻な為替リスクが挙げられます。通貨安によって中国企業の借金が事実上膨らんでいるほか、世界中で米ドル建ての債務が増加したことで、ドル資金の獲得競争が激化しています。ドルを確保できない国や企業が、窮地に追い込まれるシナリオは現実味を帯びています。
第三に、「シャドーバンキング(影の銀行)」という不透明な存在です。これは銀行以外の金融業者による融資などの仕組みを指します。規制当局のチェックが行き届かないこの市場には、現在なんと9000兆円もの巨額の資金が滞留しており、リスクの温床となっています。
私たちは、利回り追求の裏に隠された巨大なリスクから目を背けてはなりません。過剰に積み上がった債務は、まさに現代の「バベルの塔」と言えるでしょう。崩壊の足音が大きくなる前に、投資家一人ひとりが市場の歪みを注視し、防衛策を講じるべき局面が来ています。
コメント