2019年11月12日、九州と沖縄を拠点とする地方銀行21行の2019年4月1日から2019年9月30日までの半年間における中間決算が出そろいました。その結果は、実に全体の7割に及ぶ15行が最終的な利益を減らす「最終減益」という、地方金融の厳しさを物語る内容となっています。
前期に比べれば減益となった銀行数は減少したものの、純利益の合計額で見ると前年同期比で約3割も落ち込んでいます。SNS上では「地元の銀行が苦境に立たされているのは不安」「預金金利はゼロなのに貸出の厳しさは変わらない」といった、将来を案じる利用者の声が数多く寄せられています。
低金利政策の長期化が収益の柱を直撃
業績悪化の背景にあるのは、日本銀行が継続している「マイナス金利政策」の影響です。これは銀行が日銀に預けるお金の一部に手数料を課す仕組みで、市場全体の金利を押し下げる効果があります。しかし銀行側にとっては、貸し出したお金から得られる利回りが低下し続けることを意味します。
九州フィナンシャルグループの笠原慶久社長は2019年11月12日の会見で、貸出金を増やすことで金利低下分を補ったと強調しました。しかし21行全体では、貸出金の利回りは平均1.37%まで下落しており、かつての高利回りの債券などが満期を迎えるたびに収益が細るという、出口の見えない構造的な課題に直面しています。
「信用コスト」の増大と手数料収入の停滞
さらに追い打ちをかけるのが「信用コスト」の急増です。これは、貸し倒れに備えてあらかじめ計上しておく費用のことですが、今回の集計では前年同期の2倍となる95億円にまで膨らみました。各行は景気後退の兆候ではないと説明していますが、収益が減る中でのコスト増は経営の重荷となっています。
投資信託などの販売手数料も、金融庁が掲げる「顧客本位」の姿勢を重視する流れや相場の不安定さから伸び悩んでいます。ふくおかフィナンシャルグループの柴戸隆成会長が指摘するように、無理な販売は将来の歪みを生むため、どの銀行も収益確保の新しい「一手」を模索している真っ最中と言えるでしょう。
編集部が読み解く地方銀行の未来
今回の決算を見て感じるのは、従来の「お金を貸して利子を得る」というビジネスモデルが限界に達しつつあるという点です。コスト削減や有価証券の売却で数字を整えてはいるものの、それはあくまで一時的な処置に過ぎません。今後は地域の特性を活かしたコンサルティング能力がより問われるはずです。
地方銀行は地域の経済を支える心臓のような存在です。単なる収益性だけでなく、デジタル化の推進や地元企業への深い支援を通じて、いかに独自の価値を創出できるかが生き残りの鍵となるでしょう。今回の厳しい決算を、抜本的な改革への重要なシグナルとして捉えるべきだと私は考えます。
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