2019年12月01日現在、世界の金融市場を支えてきた「低格付け債バブル」が、いよいよ危険な転換点を迎えています。これまで過剰な負債を抱えながらも、低金利を背景に資金を募ってきた企業たちの社債価格が急落し始めているのです。SNS上では「ついにバブルのメッキが剥がれ始めた」「資金繰り破綻のドミノが起きるのではないか」といった不安の声が広がっており、投資家のマインドは急速に冷え込みを見せています。
その象徴とも言えるのが、ソフトバンクグループが出資する米ウィーカンパニーの苦境です。同社のドル建て社債は、2019年8月末と比較して3割も価格が下落し、元本の7割程度で取引される事態に陥っています。「格付け」とは、企業の借金返済能力を専門機関が評価したランクのことですが、同社のような低格付け企業の利回りは16%近くまで急騰しており、もはや通常の手段で新たな資金を借り入れることは極めて困難な状況です。
英国の名門アストンマーティンも例外ではありません。同社は本業で稼ぐ利益よりも支払利息の方が多い、いわゆる「ゾンビ企業」の状態にあります。本来なら市場から退出するはずの企業が、低金利という延命措置で生き長らえてきた歪みが、2019年に入り一気に表面化してきました。映画のヒーロー、ジェームズ・ボンドの愛車として知られる華やかなブランドの裏側で、深刻な資金不足という現実が牙を向いています。
さらに深刻なのは、米インテルサットや英ピザエクスプレスです。これらの社債価格は元本の半分から4分の1まで暴落しました。特に格付けが「トリプルCマイナス」まで引き下げられたピザエクスプレスに対し、市場は「6カ月以内の債務再編は不可避」と冷ややかな視線を送っています。「債務再編」とは、借金の返済条件を緩和してもらう手続きですが、これは事実上の経営破綻に近い状態を指しており、投資家には大きな動揺が走っています。
金融システムを揺るがす「ハイイールド債」の膨張
こうした「低格付け債(ハイイールド債)」の市場規模は、2019年11月末時点で約4400億ドル、日本円にして約48兆円という巨額に達しています。この10年で2倍に膨れ上がったこの市場は、利回りを求める保険会社や銀行などの金融機関によって支えられてきました。しかし、一度「デフォルト(債務不履行)」、つまり借金が返せなくなる事態が連鎖すれば、世界の金融システム全体に計り知れない打撃を与えるでしょう。
私自身の見解としても、現在の楽観的な株式市場と、この悲鳴を上げる債券市場の乖離(かいり)には強い危機感を覚えます。景気後退の足音が近づく中で、これまで「カネ余り」で隠されていた企業の脆弱性が、高い金利負担という形で白日の下にさらされています。投資家が「リスクに見合わない」と判断し、資金を完全に引き揚げてしまえば、世界経済を巻き込んだ負の連鎖は、もはや誰にも止められないものになるはずです。
2020年半ばまでに米国が景気後退に陥るリスクは50%とも囁かれています。米中貿易摩擦の先行きが不透明な今、財務体質が不健全な企業が低コストで資金を調達できる「黄金時代」は、2019年末をもって終わりを告げようとしています。私たちは今、バブルの終焉という歴史的な転換点に立ち会っているのかもしれません。今後のデフォルトの広がりが、実体経済にどこまで波及するのか、一刻の猶予も許さない状況が続いています。
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