日本の冬の風物詩とも言えるコンビニの「おでん」が、今大きな転換期を迎えています。大手コンビニチェーンのファミリーマートは、2020年1月17日より電子レンジで加熱して提供する新しいスタイルのおおでんの販売をスタートさせました。これまでは店頭の専用鍋でじっくり煮込む光景が一般的でしたが、時代の変化とともに販売方法もスマートに進化を遂げています。今回の革新的な取り組みは、全国の約6000店舗で一斉に導入されるため、多くの地域で新しいおでんの形を目にする機会が増えるでしょう。
今回登場したのは、人気の具材をあらかじめ組み合わせた2種類の商品です。4個入りは税込み268円で、定番の大根やちくわ、こんにゃく、さつま揚げがセットになっています。さらにボリュームを求める方向けに、昆布と竹の子を加えた6個入りも税込み358円で用意されました。注文を受けると、店員さんが袋入りのおでんを電子レンジで温めるだけで完成します。手軽にアツアツの美味しさを味わえるため、お仕事帰りの冷えた身体を温めたい時にもぴったりな一品と言えます。
SNS上では、この斬新な試みに対して「レジが混雑している時でもスムーズに買えそう」「食品ロスが減るなら大賛成」といった好意的な意見が多く寄せられています。その一方で、「自分の好きな具材を1個ずつ選ぶ楽しみがなくなってしまうのは少し寂しい」と、従来のスタイルを懐かしむ声も上がりました。コンビニおでんへの愛着が強いからこそ、様々な反応が飛び交うのは当然のことかもしれません。利便性と情緒のどちらを優先するか、消費者にとっても興味深いテーマです。
深刻な人手不足と店舗の深刻な悩みに応える画期的なシステム
なぜファミリーマートは、長年親しまれてきた鍋での販売方法を見直す決断に至ったのでしょうか。その背景には、近年のコンビニ業界が直面している深刻な人手不足という大きな課題が存在します。従来の鍋を使った調理方法では、毎日の丁寧な仕込みや、定期的につゆを補充する作業など、従業員にかかる負担が非常に大きいものでした。限られたスタッフで店舗を効率よく運営するためには、こうした細かな業務の調理プロセスをいかにシンプルにするかが重要視されています。
さらに、従来の方式では販売できる時間が限られているため、売れ残った具材を処分せざるを得ない「食品ロス」の問題も重くのしかかっていました。コンビニの多くはフランチャイズチェーン(FC)と呼ばれる仕組みで経営されています。これは、本部から商標や経営ノウハウの提供を受けた加盟店が、独立した事業者としてお店を運営するシステムのことです。そして、売れ残った商品を廃棄する際の金銭的な損失は、その大部分を加盟店側が背負う仕組みになっていました。
このような店舗側の経済的かつ精神的な負担を軽くするため、本部は対策を迫られていたのです。電子レンジ調理であれば、事前の仕込み作業は一切不要になります。さらにパッケージ化されていることで販売期限を大幅に延ばすことが可能となり、無駄な廃棄を劇的に削減できるでしょう。開発を担当した木内智朗さんは、加盟店の苦労を少しでも減らしたいという熱い思いを語っており、この施策が現場の救世主になることを確信している様子が窺えます。
美味しさと効率化のバランスを模索する業界の未来
これまでの鍋での販売について、本部は推奨期間を翌年4月までとしていましたが、2019年度は2019年11月までに短縮する措置をすでに講じていました。今回のレンジ導入は、その効率化をさらに一歩推し進めた形です。ただし、新方式はセット販売のみで、単品での購入はできません。また、おでんの主役とも言える「卵」などは、レンジで加熱すると破裂する危険性があるため、今回は採用が見送られました。人気具材が楽しめない点は惜しまれますが、安全性を最優先した結果です。
私は、このファミリーマートの挑戦を大いに支持します。これからの時代、持続可能な店舗経営と環境への配慮は無視できません。おでんのバラ売りという文化が薄れるのは寂しいですが、現場の労働環境を守るためには必要なパラダイムシフトだと感じます。他社でも同様の動きは広がっており、ローソンでは店舗へ納品する具材の数を減らし、売り切りやすい工夫を始めています。美味しさを損なわずに社会課題を解決していくコンビニ各社の工夫に、今後も期待が集まります。
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