就職活動を控える学生の皆さんや企業の人事担当者にとって、現在の採用動向は最も気になるトピックではないでしょうか。文部科学省と厚生労働省が2020年1月17日に発表したデータによると、2020年春に卒業を予定している大学生の2019年12月1日時点での就職内定率は、87.1%という高い数値を記録しました。これは前年の同じ時期と比べて0.8ポイントの微減となったものの、1996年にこの調査が始まって以来、なんと歴代2位となる驚異的な高水準なのです。
この結果を受けて文部科学省は、学生側が有利に活動を進められる「売り手市場」が依然として継続しているとの見解を示しました。「売り手市場」とは、企業の求人数に対して就職を希望する学生の数が下回っている状態を指します。つまり、企業側が人材の獲得に苦労する一方で、学生にとっては複数の内定から就職先をじっくり選べるような、有利で恵まれた環境が整っていることを意味しているのです。
今回の調査結果で特に注目すべきポイントは、男女間における内定率の逆転現象でしょう。男子の内定率が前年同期比で1.7ポイント減少の85.8%にとどまったのに対し、女子は0.1ポイント微増して88.6%に達しました。文理別の比較では、文系が0.8ポイント減の86.9%、理系が0.9ポイント減の88.1%となっており、どちらも堅調さを維持しています。女子の健闘や理系の安定感が、市場全体を力強く牽引している様子が伺えます。
地域別の動向に目を向けると、北海道・東北エリアが前年同期より3.0ポイントも上昇して89.0%となり、全国トップの座に輝きました。また、九州エリアも2.2ポイント増の82.7%と好調な伸びを見せています。その一方で、関東(88.7%)や中部(85.6%)、近畿(88.3%)、中国・四国(81.4%)の各地域では、前年よりも内定率が低下しました。都市部と地方における企業の採用意欲の差が、如実に表れた結果と言えそうです。
この報道に対して、SNS上では「就職先がすぐ決まるのは羨ましい」「自分の時代もこれくらい好景気だったら良かったのに」といった現役世代への羨望の声が溢れています。しかしその反面、当事者である学生からは「内定は出たけれどブラック企業かもしれない」「売り手市場と言われても、第一志望に受かるわけではない」というリアルな不安の声も少なくありません。数字の華やかさの裏で、学生たちが慎重に見定めを行っている現実が垣間見えます。
全国62の大学から4770人を抽出して行われた今回の調査は、現代の採用市場の熱量を正確に映し出しています。私個人としては、この売り手市場という絶好のチャンスを活かし、学生の皆さんには知名度や規模だけでなく、自身のキャリアに本当にマッチする企業を見極めてほしいと願うばかりです。企業の側も、選ばれる立場であるという危機感を持ち、労働環境の改善や魅力の発信にこれまで以上に注力することが、優秀な人材の確保に繋がるでしょう。
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