九州を拠点にする西部ガスが、ベトナムの国営ガス大手であるペトロベトナムガス(PVG)の子会社、ペトロベトナム低圧ガス配給(PVGD)へ出資することを決定しました。彼らにとって海外のエネルギー事業に対する投資は今回が初の試みとなります。21%の株式を取得して持ち分適用会社にする方針で、出資額は数十億円規模にのぼる見込みです。今後は配当収入を得るだけでなく、培ってきた独自のノウハウを現地へ供与することで、さらなる事業拡大を目指すといいます。
出資先であるPVGDは、首都ハノイや経済の中心地であるホーチミン市の工業団地に向けて、自国で生産された天然ガスをパイプライン経由で供給している企業です。2018年12月期の売上高は385億円、資本金は約43億円を誇ります。なお、同社には2017年に東京ガスもすでに24.9%の株式を保有する形で出資を行っており、日本の主要ガス会社が相次いで注目する非常にポテンシャルの高い企業であるといえるでしょう。
西部ガスは2019年12月に株式の売買契約を締結しました。現在のベトナムは若年層の人口比率が非常に高く、東南アジア諸国の中でもトップクラスの経済成長が期待されているエネルギッシュな国です。経済発展に伴って現地のエネルギー需要は爆発的に増加しており、足元では環境負荷の低い液化天然ガス(LNG)の輸入を検討する動きも本格化しています。これにより、現地のガス市場は今後さらに魅力的に拡大していくと予想されます。
ここで専門用語を解説します。持ち分適用会社とは、投資企業が一定以上の影響力を持つものの、完全な子会社ではない関連企業のことです。また、LNG(液化天然ガス)とは天然ガスをマイナス162度まで冷却して液体にしたもので、燃焼時に二酸化炭素の排出量が少ないクリーンなエネルギーとして世界中で導入が進んでいます。これからの地球環境を考えたビジネスを展開する上で、非常に重要なキーワードになるでしょう。
今回のニュースに対してSNSでは、「地方のインフラ企業が海外へ打って出るのは夢がある」「ベトナムの成長性に目を付けたのは素晴らしい戦略だ」といったポジティブな反響が広がっています。少子高齢化が進む日本国内の市場だけに頼らず、勢いのある東南アジアへ進出することは、中長期的な企業の生存戦略として非常に理にかなっています。東京ガスとの協調体制が現地でどのように実を結ぶのか、今後の展開が非常に楽しみです。
西部ガスの国際エネルギー事業部企画グループでマネジャーを務める中村卓也氏は、今後の見通しについて、ベトナム以外の海外エネルギー企業への投資も「良い案件が存在すれば前向きに検討していきたい」と語っています。国内で培った高い安全技術や安定供給のノウハウは、発展途上にあるアジア諸国で強力な武器になるはずです。同社のフロンティア精神あふれる挑戦は、日本のエネルギー業界全体に新たな刺激を与えるに違いありません。
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