物言う株主は敵か味方か?2020年現在のコーポレートガバナンス改革がもたらす企業経営の新常識

企業経営陣と株主の関係性が、いまドラスティックに変化しています。かつては敵対的な存在として警戒されていた「物言う株主(アクティビストファンド)」ですが、2020年01月21日現在、その活動の実態はより洗練されたものへと進化を遂げているのです。

早稲田大学の鈴木一功教授と宮島英昭教授による最新の分析から、日本における投資家と企業との対話(エンゲージメント)のリアルな現状が見えてきました。SNS上でも「単なるマネーゲームではなく、本質的な企業価値を高める存在になりつつある」と、ポジティブな変化に注目する声が上がっています。

スポンサーリンク

過去の失敗から学んだ!進化したアクティビズムの成功率

振り返れば、2004年から2007年にかけての第1期ブームでは、村上ファンドをはじめとする国内外のファンドが目立ちました。しかし、当時は手元資金が豊富な企業へ増配や自社株買いを強硬に求めるスタイルが多く、企業側への提案が受け入れられる成功確率はわずか2割程度にとどまっていたのです。

ところが、2013年以降の第2期になると風向きが変わります。安倍政権が推進するコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改革を背景に、彼らの要求は「取締役の選任」や「不採算部門の売却」といった、経営の根幹を揺り動かす本質的なテーマへとシフトしました。

これにより、現在の公式な要求の成功確率は約4割にまで跳ね上がっています。さらに、提案が受け入れられた場合の株式の超過収益率(CAR:市場平均を上回るリターン)は、欧米並みの約6%を記録しており、市場からもその実効性が高く評価されていることが伺えるでしょう。

舞台裏で進む「非公開型エンゲージメント」の圧倒的な実力

さらに興味深いのは、表舞台に立たない「非公開のアクティビズム」の台頭です。投資家に代わって企業と粘り強く交渉を行う「エンゲージメント代行会社」の存在が、現代の日本の市場において極めて重要な役割を果たしています。

その草分けである「ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン(GOJ)」の記録を分析すると、社外取締役の増員といったガバナンス体制の改善要求に対する成功確率は、なんと7割強という驚異的な数値を叩き出しています。

メディアを通じて激しく火花を散らすのではなく、水面下で企業のメリットを論理的に説得するスタイルこそが、伝統的な投資家を味方につけ、大企業の心を動かす最適解になりつつあるのです。

これからの企業と投資家に求められる「真摯な対話」

編集部としては、この変化を単なる「株主のパワー増大」と捉えるべきではないと考えます。むしろ、企業が独りよがりの経営から脱却し、グローバル基準の透明性を手に入れるための絶好のチャンスではないでしょうか。

これからの経営陣には、短期的な利益だけを追い求める投資家を賢く見極め、建設的な対話ができるパートナーを選別する眼力が必要不可欠です。そして、自社の長期的な成長戦略を堂々と説明し、変革を恐れない姿勢を示すことが求められるでしょう。

一方で、投資家側が複数の株主で協力して声を上げる「集団的エンゲージメント」を活性化させるためには、インサイダー取引規制や大量保有報告制度といった法的な実務の明確化という課題も残されています。公開型から非公開型まで多様な投資家がひしめき合う今、日本の企業統治はまさに新時代を迎えています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました