レバノン新内閣が誕生!ハッサン・ディアブ新首相を待ち受ける経済危機とゴーン被告の行方、市民が怒る政治不信の真相とは?

中東の要衝レバノンで2020年1月21日、ハッサン・ディアブ首相が率いる新しい内閣がようやく産声を上げました。前首相の辞任から約3ヶ月もの間、政治的な空白が続いていた同国にとって、待望の政権発足と言えるでしょう。しかし、街に漂う空気は決して歓迎ムード一色ではありません。ネット上でも「これで本当に国が変わるのか」といった懐疑的な声が噴出しています。崩壊寸前の経済をどう立て直すのか、新リーダーの力量が試されています。

元教育相であるディアブ氏は、2019年12月に首相への指名を受けてから組閣準備を進めてきました。今回の内閣は、政治家ではなく高度な技術や専門知識を持つ知識人が集まった「テクノクラート(実務家)内閣」という特徴を持っています。ディアブ首相は就任直後、泥沼化する国内の汚職撲滅や抜本的な経済改革を約束し、国民の声に真摯に耳を傾ける姿勢を強調しました。市民の激しい怒りを鎮められるか、世界中がその一挙手一投足に注目しています。

ことの発端は2019年10月に政府が発表した、無料通話アプリへの増税案でした。生活苦にあえぐ若者たちの不満が爆発し、首都ベイルートを中心に前代未聞の大規模デモへと発展したのです。結果として当時のハリリ首相は退陣へと追い込まれました。SNSでは当時のデモの様子が拡散され、「私たちの声が政治を動かした」という連帯感が生まれる一方で、長引く混乱への不安を吐露する書き込みも目立っています。国民の政治不信はピークに達していると言えるでしょう。

実は、レバノンの政治は非常に複雑な仕組みの上で成り立っています。この国では、キリスト教マロン派が大統領、イスラム教スンニ派が首相、そしてシーア派が国会議長を務めるという独特のルールが存在するのです。これは様々な宗教や宗派が共存するための「勢力均衡」を保つ知恵でした。しかし今回のディアブ新首相は、前首相のような幅広い支持基盤を持っていません。そのため、新しい体制が十分に指導力を発揮できるかどうかを疑問視する声は根強いのです。

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親イラン政党の影と、カルロス・ゴーン被告への影響

さらに新政権の行く手を阻むのが、シーア派組織「ヒズボラ」の存在です。彼らは独自の軍事部門を持ち、隣国イスラエルと対立する強力な既得権益層ですが、アメリカからはテロ組織に指定されています。今回の内閣がヒズボラ側の支持を受けて誕生したため、アメリカなどの欧米諸国がレバノンへの経済援助を手控えるのではないかという懸念が浮上しました。この国際社会との関係性の冷え込みこそ、新政権にとって最大の障壁になるかもしれません。

新内閣が発足した2020年1月21日の夜にも、皮肉なことにベイルートの街頭では再び抗議デモが巻き起こりました。「大臣の顔ぶれが変わっても、結局は旧態依然とした宗教利権の配分に過ぎない」と、市民は見透かしているのです。ネット上ではデモの生中継と共に、生活の困窮を訴える悲痛な叫びが溢れかえっています。利権政治からの完全な脱却を求める民衆と、変革を拒む旧勢力との溝を埋めるのは容易ではないと予想されます。

現在のレバノン経済は、まさに瀕死のステータスにあります。国際通貨基金(IMF)の推定によると、2019年の経済成長率はわずか0.2%にとどまりました。政府の借金は膨れ上がり、国内の銀行では預金の引き出し制限まで行われている始末です。さらに、日本から逃亡してきた日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告に対する政府の司法スタンスが今後どう変化するのかという点も、国際的な外交問題として火種を抱えた状態にあります。

編集部の視点として、今回の政権交代は単なるリーダーの交代劇にとどまらない、国家の存亡をかけた重大な局面であると考えます。専門家を集めた実務型アピールだけで民衆の飢えと怒りを救うのは不可能でしょう。米国との関係悪化を避けつつ、いかにして国際援助を引き出すかという外交手腕が問われます。いまレバノンに必要なのは、過去の慣習に縛られない本物のリーダーシップであり、ディアブ首相がその覚悟を示せるかどうかが、国の未来を左右するはずです。

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