タイの輸出が4年ぶりピンチ!米中貿易摩擦とバーツ高のダブルパンチに揺れる東南アジア経済の行方

東南アジアの経済を牽引するタイから、気になるニュースが飛び込んできました。タイ商業省が2020年1月22日に発表した最新の貿易統計によりますと、2019年の輸出額は前年と比べて2.7%減少し、2462億ドル(約27兆円)に落ち込んだことが判明したのです。これは実に4年ぶりのマイナス成長であり、タイ経済の底力が試される深刻な事態と言えるでしょう。

この不調の最大の引き金となったのが、世界中を揺るがしている「米中貿易戦争(米中の関税報復合戦)」です。世界経済全体の足取りが重くなったことで、タイにとって最大の貿易相手国である中国向けの輸出が大きく冷え込んでしまいました。ネット上でも「アジアの工場であるタイの減速は、世界的な不況のサインかもしれない」と、今後の動向を不安視する声が数多く上がっています。

具体的なデータを見てみますと、2019年の対中輸出額は3.8%減の291億ドルにとどまりました。中国に拠点を置く企業がサプライチェーン(部品の調達から製造、消費までの一連のつながり)を見直した影響を受け、タイの主要産業であるゴム製品が15%減、コンピューターやその部品も9%減と大きく落ち込んでいます。中国経済への依存度の高さが、今回は裏目に出てしまった形です。

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米国が最大の輸出相手国へ浮上!しかし新たなリスクも

その一方で、非常に興味深い逆転現象も起きています。対米輸出額が11.8%増の313億ドルと劇的な伸びを記録し、なんと米国が中国を追い抜いてタイにとって最大の輸出相手国に躍り出ました。これは米国の対中制裁関税を避けるため、企業が中国製品の代わりにタイ製品を買い求めた「代替需要」が原因とみられます。ピンチをチャンスに変える貿易のダイナミズムが感じられますね。

しかし、このアメリカ人気の高まりが手放しで喜べないのも事実です。対米貿易黒字が膨らんだことで、米国政府から「為替操作の監視リスト」に入れられる危険性が浮上しています。さらに、外国為替市場でタイの通貨バーツが米ドルに対して約6年ぶりの高値圏で推移する「バーツ高」が続いており、これが日本や欧州、ASEAN諸国への輸出において大きな足かせとなっています。

現状、輸入の減少によって貿易黒字自体は2倍に拡大していますが、これは国内景気の冷え込みを意味する「不況下の黒字」であり、決して楽観視はできません。それでもタイ商業省は、米中交渉の進展を背景に2020年の輸出は1.5から2%のプラス成長へ転じると期待を寄せています。多国籍企業のハブであるタイがこの荒波をどう乗り越えるのか、今後の手腕に注目が集まります。

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