財務省が2020年1月23日に発表した2019年の貿易統計速報によれば、日本の輸出額と輸入額がともに3年ぶりのマイナスを記録しました。輸出額は前年比5.6%減の76兆9277億円となり、世界的な経済の冷え込みが浮き彫りになっています。
この冷え込みの主因は、世界を揺るがす「米中貿易戦争」です。これは米国と中国が互いに高い関税を掛け合う報復合戦のことで、世界の流通を停滞させています。SNSでも「これほど露骨に数字に出るとは」「中小企業への影響が心配」と不安の声が広がりました。
特に中国向けの輸出は7.6%も落ち込み、14兆6822億円にとどまっています。その結果、2018年には日本の最大の輸出相手国だった中国が、今回は2位へと転落しました。スマートフォンなどに使われる半導体や、その製造装置の落ち込みが顕著です。
米中によるハイテク分野の主導権争い(ハイテク摩擦)は、中国国内の生産や投資にブレーキをかけました。日本の優れた部品や機械を中国へ供給するビジネスモデルが、今まさに大きな打撃を受けていると言えるでしょう。
影響は中国だけに留まらず、東南アジアの主要国へも連鎖しています。中国の2019年の実質国内総生産(GDP)成長率は6.1%増と、実に29年ぶりの低い水準でした。GDPとは国全体の経済活動の規模を示す指標であり、これが失速した形です。
中国に部材を供給していたシンガポールやタイなどの周辺国でも、機械類や鉄鋼の需要が低下しました。世界規模のサプライチェーン(部品の調達から販売までの一連の繋がり)が複雑に絡み合う現代では、一国の停滞が瞬時に世界へ波及してしまいます。
さらに外交関係の悪化が続く韓国への輸出も、12.9%減の5兆441億円と大きく沈んでいます。食料品が22.6%減少したほか、半導体の製造装置にいたっては約半分に激減しました。政治的な対立が経済に影を落としている現状は、非常に憂慮すべき事態です。
一方、輸出先でトップとなった米国向けも、自動車や鉄鋼の不調により1.4%減の15兆2469億円と足踏み状態が続いています。日本の輸出は2007年の約84兆円をピークに、自動車の海外現地生産化なども相まって長期的にも減少傾向にあります。
対する輸入額も5%減の78兆5716億円でした。これは原油や液化天然ガス(LNG)といったエネルギー資源の価格が、2018年に比べて落ち着いたことが要因です。しかし、輸入の減少以上に輸出の落ち込みが激しく、結果は厳しいものとなりました。
最終的な貿易収支は1兆6438億円の赤字を計上し、2年連続のマイナスです。2019年12月単月の輸出も13カ月連続で前年を下回っており、日本経済は外需に頼れない正念場を迎えています。今こそ、内需拡大や新たな市場の開拓へ舵を切るべき時です。
コメント