2019年12月05日、門司税関が発表した九州経済圏(九州7県に山口・沖縄を加えたエリア)の最新貿易統計によりますと、地域の経済を支える輸出の動きに急ブレーキがかかっています。2019年10月の輸出額は前年の同じ月と比べて9.3%も減少し、7333億円にとどまりました。これで3カ月連続の前年割れとなっており、地元の製造業関係者からは先行きの不透明感を懸念する声が上がっています。
今回の落ち込みの主因となったのは、九州の基幹産業である自動車分野です。アメリカや中国、そして韓国といった主要マーケット向けの出荷が振るわず、自動車全体の輸出額は2037億円と7%のマイナスを記録しました。SNS上でも「地元経済を支える自動車がこれほど苦戦するとは意外だ」といった驚きの反応や、「世界的な景気減速の影響が九州にも直撃している」という冷静な分析が飛び交っています。
主力製品の明暗と複雑化する韓国との貿易動向
輸出の内訳を詳しく見ますと、明暗が分かれる結果となりました。スマートフォンなどに使われる「電子部品」は2カ月ぶりにプラスへと転じ、底堅さを見せています。その一方で、精密な回路を作るために欠かせない「半導体製造装置」やビデオカメラなどの「映像機器」は大きく落ち込み、ハイテク分野全体での回復には至りませんでした。専門的な設備投資が世界的に冷え込んでいる様子が伺えます。
特に注目すべきは、21カ月連続で減少を続けている韓国への輸出です。2019年10月の対韓輸出額は24.5%減の817億円まで縮小しており、厳しい状況が常態化しています。一方で輸入額についても、原油や石炭、液化天然ガス(LNG)といったエネルギー資源の価格下落と数量減が響き、20.1%減の5792億円となりました。これほど大幅な輸入の減少は、国内の生産活動の停滞を示唆しているのかもしれません。
結果として、輸出額から輸入額を差し引いた「貿易収支」は1541億円の黒字を確保しました。これで58カ月連続の「輸出超過」、つまり海外から稼いだお金の方が多い状態を維持している点は救いと言えるでしょう。しかし、輸出と輸入が共に縮小しながら黒字を維持する「縮小均衡」のような形にも見え、手放しでは喜べないのが編集部としての正直な見解です。
港によって異なる表情を見せる自動車積出の現場
自動車輸出の最前線である各港のデータからは、メーカーごとの勢いの差が鮮明に浮き彫りとなりました。トヨタ自動車九州の拠点に近い博多港では、輸出額が5%減少し、16カ月ぶりにマイナスを記録しています。また、マツダの工場に近い山口県の防府港でも27%減と大幅な落ち込みを見せており、主要メーカーが海外市場での需要変化に苦慮している様子が具体的に伝わってきます。
そのような苦境にあって、日産自動車九州が主に利用する福岡県の苅田港だけは、6%を超える増加を見せて9カ月ぶりにプラスへと転じました。特定の港だけが活気を見せるこの現象は、車種や仕向け地による戦略の差が如実に出た結果といえるでしょう。九州は「カーアイランド」として日本の製造業を牽引しているだけに、各港の動向が地域経済の命運を握っているといっても過言ではありません。
個人的な意見を申し上げれば、世界経済の波に左右されやすい貿易構造を補完するためにも、特定の国や製品に依存しすぎない柔軟な供給網の再構築が急務ではないでしょうか。現状の貿易黒字に安住することなく、次世代産業の育成や市場の多角化を進めることが、九州経済の持続的な成長には不可欠だと強く感じます。今後の統計で、自動車や半導体が再び力強い輝きを取り戻すことを期待して止みません。
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