東南アジアの優等生として急成長を続けてきたフィリピン経済に、いま大きな転換期が訪れています。フィリピン統計庁が2020年1月23日に発表したデータによると、2019年の実質GDP伸び率は前年比5.9%という結果になりました。これは政府が掲げていた6.0%から6.5%という目標に届かなかっただけでなく、実に8年ぶりに6%の大台を割り込む形です。3年連続で減速する結果となり、現地では衝撃が広がっています。
SNS上でも「フィリピンの勢いにブレーキがかかったのか」「これからの投資計画を見直すべきかもしれない」といった不安の声が上がりました。一方で「一時的な足踏みであり、成長ポテンシャルは依然として高い」と冷静に分析する意見も見られます。実質GDPとは、物価の変動による影響を取り除いて算出した、国全体の経済的な生み出しの規模を指す指標です。この数字が低下した背景には、一体どのような要因が隠されているのでしょうか。
世界経済の荒波とインフラ停滞がもたらした二重苦
今回のブレーキの最大の引き金となったのは、世界的な貿易環境の悪化です。アメリカと中国の間で激化する貿易摩擦、いわゆる「米中貿易戦争」のあおりを受け、国際的な景気が冷え込みました。その影響はフィリピンの輸出事業にも直撃しています。これまで2桁台の驚異的な伸びを記録していた輸出ですが、2019年は3.2%増と大きく失速しました。中国などの製造ラインに供給される半導体や電子部品の需要が落ち込んだのです。
さらに、国内の設備投資がマイナス5.2%と大幅な落ち込みを見せたことも痛手となりました。景気を底上げするはずだった大型のインフラ整備事業が一部で停滞し、国全体の支出が伸び悩んでいます。私は、今回の減速を単なる景気後退と捉えるべきではないと考えます。むしろ、海外の情勢に左右されやすい構造から脱却し、強固な国内市場を育てるための重要な試練の時期を迎えているのではないでしょうか。今後の巻き返しに注目が集まります。
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