普段の食卓を少し贅沢に彩る日本の宝、和牛に今、驚きの現象が起きています。12月といえばお正月やクリスマスといったイベントが重なり、お肉の需要が1年で最も高まる時期ですが、異例の値下がりが記録されました。背景にあるのは、長引く生活防衛の意識です。贅沢品への支出を控える人が増える中で、最高峰とされるお肉の市場にも大きな変化が訪れています。
実は現在、和牛の格付けにおいて最上級にあたる「A5」ランクの生産割合が急増しています。日本食肉格付協会が発表したデータによると、2019年通年の和牛(去勢)におけるA5の割合は46%に達しました。前年から5ポイント増加しており、5年前のデータと比較すると19ポイントもの大幅な上昇です。これに対してワンランク下のA4は35%に減少し、最高峰の割合が年々高まっています。
ここで、お肉の業界で使われる「格付け」という専門用語について分かりやすく解説しましょう。日本の牛肉は、歩留(ぶどまり)等級と呼ばれる骨などを除いてどれだけお肉が取れるかを示すA〜Cの3段階と、肉質等級というお肉の品質を示す1〜5の5段階を組み合わせて評価されます。つまりA5とは、最も多くの肉が取れて、かつ最も優れた品質を持つと認められた、日本でトップクラスの評価を受けたお肉を意味するのです。
SNS上では、この状況に対して「お祝いの席でもA5だと脂が多すぎて胃もたれする」「最近は赤身のほうが肉本来の旨味が分かって好き」といった、霜降り重視の風潮に疑問を持つ声が目立っています。中には「安くなるのは消費者として嬉しいけれど、複雑な気持ち」という意見もあり、トレンドの移り変わりが感じられました。
高価に取引される最上級の牛肉が増える現象は、一見すると生産者の収益を改善させる明るいニュースに思えます。しかし、現場を預かる流通業者や畜産の専門家からは、厳しい意見が相次いでいるのが現状です。市場では「すでに希少価値が薄れており、脂身が多いからといって簡単に売れる時代ではない」という指摘や、「評価が高いからといって必ずしも消費者が美味しいと感じるわけではない」との本音が漏れています。
私はこの現象について、消費者のリアルな味覚の多様化と、生産現場の評価基準にギャップが生じている結果だと考えています。見た目の美しさや脂肪の量だけでなく、赤身の味わいや肉本来の香りを評価する新しい仕組み作りが必要なのではないでしょうか。時代の変化に合わせて、誰もが本当に美味しいと思えるお肉が適正に評価される未来を期待してやみません。
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