コンビニ超えの調剤薬局に大再編の嵐!中小の身売り急増とドラッグストア参入で私たちの医療はどう変わる?

街を見渡せば、至る所で見かける調剤薬局。実はその数が全国で約6万店舗にも達し、いまや大手コンビニエンスストアを上回る規模になっていることをご存じでしょうか。しかし、その華やかな数字の裏側で、薬局業界には今、かつてないほど巨大な地殻変動が押し寄せています。これまで市場の約7割を占めていた個人経営などの「街の中小薬局」が、次々と大手企業へ経営権を譲渡する、いわゆる身売りを選択しているのです。専業大手やドラッグストアが運営する調剤薬局の数は、2020年3月末までに初めて7000店舗を突破する見通しとなりました。

この劇的な再編の背景には、経営者を苦しめる深刻な三重苦が存在します。国が医療費を抑えるために進める「調剤報酬改定(国から薬局に支払われる技術料の引き下げ)」や、安価なジェネリック医薬品の普及による利益の減少。そして何よりも深刻なのが、地方を中心とした慢性的な薬剤師不足と後継者難です。SNS上でも「いつも親身になってくれた地元の薬局が突然大手のチェーンに変わってショック」「薬剤師さんがいつも忙しそうだったのはこういう背景があったからなのか」といった、驚きや同情の声が多数寄せられています。

実際に現場を守ってきた経営者の疲弊は限界に達しています。2019年1月には、茨城県で20年以上も地域医療を支えてきた60代の男性経営者が、運営する2店舗を大手企業へ譲渡しました。男性は、薬剤師の確保に追われ続け、毎年のように変わる国のルールに対応する余裕さえ奪われていたと吐露しています。こうした悲痛な現場の叫びに応えるように、大手によるM&A(企業の合併・買収)が加速しています。業界最大手のアインホールディングスでは、2019年度の新規出店100店舗のうち、なんと75店舗が買収によるものです。

さらに、この再編劇に拍車をかけているのが、ウエルシアホールディングスをはじめとするドラッグストア勢の猛追です。ドラッグストア各社は、店内に処方箋を受け付ける調剤スペースを併設する店舗を急速に増やしています。患者にとっては、薬の待ち時間に食品や日用品の買い物を済ませられるため、圧倒的な利便性を誇ります。高齢化が進む社会において、1つの店舗で医療も生活必需品も完結する仕組みは、時代のニーズに完璧に合致していると言えるでしょう。2019年度の新店舗も、その大半がこの調剤併設型となっています。

私は、この大手への集約の流れは、一見すると寂しさを伴うものの、日本の医療インフラを守るためには避けて通れない「前向きな変革」であると考えます。なぜなら、豊富な資金力と組織力を持つ大手に統合されることで、中小薬局では難しかった豊富な薬の在庫確保や、24時間対応の在宅医療といった手厚いサービスが可能になるからです。さらに、薬剤師の過酷な労働環境が改善されれば、結果として私たち患者に還元される医療の質も高まります。過疎地での薬局存続のためにも、スケールメリット(規模の拡大による効率化)の活路に期待したいところです。

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