米中貿易摩擦で激変する中国の役割!「世界の工場」から最新技術の「巨大な実験室」へ進化する理由と日本企業の生存戦略

アメリカと中国による経済的な対立が深まる中、世界における中国の立ち位置がドラスティックに変貌を遂げています。2020年1月上旬に米国ラスベガスで開催された世界最大級のデジタル技術見本市「CES」では、米中摩擦の余波で中国企業の出展減少が目立ちました。しかしその一方で、現地の熱気からは中国が単なる製造拠点や消費市場を超え、新たな技術を社会に実装するための「巨大な実験室」へと進化している現実が浮かび上がっています。

特に注目を集めたのが、2016年に設立された中国の新興電気自動車(EV)メーカーであるバイトンです。同社のダニエル・カーチャート最高経営責任者は、初の量産車を2020年中に中国国内で発売し、2021年には欧米市場へ進出する計画を明かしました。現在の中国EV業界はバブル崩壊の懸念や事業見直しといった強い逆風にさらされていますが、最先端技術に挑む若き企業のスピード感には目を見張るものがあります。

このバイトンの勢いに商機を見出したのが日本企業です。ソフトウェア開発を手掛けるACCESS(アクセス)は、新型車の目玉である超大型ディスプレイへの映像配信システムを提供します。同社のドイツ法人でトップを務めるニール・フォスター氏は、歴史が浅い企業だからこそ古い仕組みに縛られず、最新技術を柔軟に取り入れられると分析しており、自社の新技術を試す絶好の機会と捉えているようです。

また、大手商社の丸紅もバイトンへの出資を通じて、EVの廃車から出る使用済み電池を再利用した蓄電システムの共同開発に乗り出しています。これは自動車業界全体が頭を悩ませる環境課題に対する先駆的な取り組みです。米国への輸出が難しくなるリスクを考慮した上でも、中国企業の圧倒的な決断の早さを生かし、どこよりも早くビジネスモデルを確立しようという貪欲な姿勢が伺えます。

さらに、自動運転の分野でも中国発の技術が世界を揺るがしています。香港に本拠を置くスタートアップのオートXは、中国の3都市で公道走行試験を重ねており、今後は日本や米国への進出を狙っています。先行する米国のライバル企業に対し、オートXの李卓最高執行責任者は、中国特有の極めて混雑した道路環境で培ったデータや対応力こそが、世界に通用する強みになると確信している様子です。

ネット上でも「中国の圧倒的な開発スピードは脅威」「法規制が緩い分、新しい技術の実験場として最強すぎる」といった声が上がっており、その進化速度に驚く声が多数寄せられています。約20年前に世界貿易機関(WTO)へ加盟した当時の中国は「世界の工場」でした。それがやがて巨大な「消費市場」となり、現在では人工知能(AI)やスマートシティの最前線を走る「実験室」へと変貌しているのです。

もちろん、知的財産権の侵害問題や個人のプライバシー保護、さらには足元で拡大している新型コロナウイルスによる肺炎など、クリアすべき深刻な課題やリスクは山積みと言わざるを得ません。しかし、これまでの歴史が証明している通り、一時的な経済の浮き沈みがあっても、中国が世界の技術覇権において存在感を高め続ける潮流は止まらないでしょう。

編集部としては、日本企業が生き残るためにはこの「中国=実験室」という新たな現実をポジティブにハックしていく必要があると考えます。リスクを恐れて距離を置くのではなく、丸紅やACCESSのように、彼らの圧倒的なスピード感を自社の技術やアイデアの「実証の場」として利用する知恵こそが、これからのグローバル競争を勝ち抜く鍵になるはずです。

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