米グーグルの持ち株会社であるアルファベットの株価が急上昇し、2020年1月16日に企業の価値を示す時価総額が初めて1兆ドル、日本円で約110兆円の大台を突破いたしました。米企業としてはアップルやアマゾン、マイクロソフトに続く4社目の快挙となり、世界経済における存在感を改めて証明した形です。ネット上では「ついに1兆ドル企業か」「私たちの生活は完全にグーグルに支えられている」といった驚きと納得の声が溢れています。
これほどの高評価を得た背景には、圧倒的なシェアを誇る検索事業の底力があります。近年は個人情報保護の規制強化や独占禁止法に関する厳しい追及など、同社を取り巻く環境は決して追い風ばかりではありませんでした。一時は主力である広告収入の伸び悩みを懸念する見方も強まりましたが、最先端の人工知能技術を次々と投入することで広告の費用対効果を向上させ、盤石な稼ぐ力を維持しています。
さらに、課題とされていた投資家への還元として自社株買いを積極的に進めたことも、市場からの信頼回復に繋がりました。2019年末にはカリスマ的な創業者2名が経営の第一線から退き、スンダー・ピチャイ氏に最高経営責任者としての権限が集中したことも、組織の近代化として好意的に受け止められています。SNSでは「一つの時代が終わり、より洗練された企業に生まれ変わった」という意見も聞かれました。
大人になったグーグルが直面する革新性のジレンマ
一方で、現在の好調ぶりは手堅いビジネスモデルが評価された結果であり、かつてのような世の中を震撼させる破壊的なイノベーションが影を潜めているのではないかという指摘も存在します。現在の成長を支えるクラウド事業やスマートフォン関連ビジネスは、競合他社を追随するものが多く、新鮮味に欠けることは否めません。世界的な資金余りの相場環境が株価を押し上げた側面もあるでしょう。
1998年の創業以来、同社は「ムーンショット」と呼ばれる、月面着陸のように壮大で実現困難な未来の計画に挑戦し続けてきました。この無謀とも思えるアニマルスピリット、つまり企業の旺盛な挑戦意欲こそが、世界中から超一流の天才たちを惹きつける最大の魅力だったはずです。いまや一大産業となりつつある自動運転車への着手も、10年以上前に遡る彼らの先見性の賜物と言えます。
莫大な富を手に入れた現在の彼らが、かつての「尖った若さ」を失いつつあるように見えるのは非常に寂しいことです。しかし、私は同社が革新の炎を消したとは思いません。年間200億ドルを超える研究開発費は伊達ではなく、最近でも次世代の超高速計算を実現する量子コンピューターの分野で、世界に衝撃を与える成果を発表したばかりです。市場を安心させる優等生でありながら、世界をワクワクさせる挑戦者であり続けられるか、大企業の真価が問われています。
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