IT大手1兆ドル時代の光と影!GAFAに振り回されない「強い個人」が未来のテック社会を救う理由とは?

米アップルやアマゾン、マイクロソフトに続き、2020年1月中旬にはグーグルの親会社であるアルファベットの時価総額が1兆ドルを突破しました。デジタル化の波は勢いを増すばかりであり、今週から始まるIT大手の2019年10~12月期決算でも、多くの専門家が大幅な増収を予想しています。

しかし、足元では変化が起きているようです。米国の成人を対象にした意識調査によると、巨大IT企業が社会に与える影響を好意的に捉える人が減少傾向にあります。プライバシー保護の甘さや偏った情報の拡散に対し、世間の不信感が強まっているのです。SNS上でも「便利だけど監視されているようだ」といった警戒の声が目立ちます。

巨大な力を持つ企業と、それに翻弄されるユーザーという構図になりがちですが、それでは根本的な解決になりません。私たちが受け身の姿勢を捨てて主体的に関わることが、納得のいくデジタル社会を築く鍵になるでしょう。インターネットの歴史を振り返れば、私たち個人には大きな変革を起こす力が備わっているのです。

ここで、21年前のシリコンバレーで出会ったリーナス・トーバルズ氏の姿が思い出されます。同氏は無償のOSである「リナックス(Linux)」を生み出した天才技術者です。OSとはコンピューターを動かすための最も基本的なソフトウェアのことで、当時はマイクロソフトなどの大企業が市場を独占していました。

トーバルズ氏は利益のためではなく、純粋な楽しさと誇りから開発を続けたといいます。ネットを通じて世界中の個人の知恵を集約したリナックスは、いまや主要な証券取引所やスマートフォンを支える巨大なインフラへと成長しました。個人の熱意が集まれば、巨大企業に対抗できる結晶が生まれる証明にほかなりません。

現代はデータの時代であり、人工知能による分析技術を持つIT企業の存在感は圧倒的です。しかし、そのデータを提供しているのは私たち個人にほかなりません。ユーザーがデータの使われ方に声を上げれば、社会の方向性を変えられます。実際に、米国の新興企業では遺伝子データを個人の意思で管理する試みも始まっています。

さらに、SNSの世界でも個人の力が実を結んだ事例が存在します。2016年に米ツイッターがAIによるおすすめ順の表示を導入した際、多くのユーザーが「時系列のほうが使いやすい」と不満を漏らしました。ネット上での根強い反対運動の結果、企業側は2018年に元の表示を選べる機能変更を受け入れたのです。

だからといって、巨大IT企業を排除すべきだという極端な話ではありません。医療の進歩や地球環境の保護など、人類が直面する難問を解決するには彼らの強大な開発力が必要です。大切なのは「強い企業」と「強い個人」が対等に共存し、お互いの信頼関係の上でバランスを保ち続けることではないでしょうか。

この理想的な関係性を象徴する動きが、スマホゲーム「ポケモンGO」で知られる米ナイアンティックで始まろうとしています。同社は現実の風景にデジタル情報を重ね合わせる「拡張現実(AR)」の技術を使い、次世代の世界地図を作ろうと計画しています。ここで不可欠となるのが、一般のプレイヤーたちの協力です。

2020年3月までに開始されるこのプロジェクトでは、参加者が地域の映像データを撮影して会社側に提供します。地域の魅力を最もよく知る個人の能動的な行動が、精度の高い地図を完成させるのです。企業はこれに対し、ゲームを通じて人々の交流や健康増進を促すという形でユーザーへ利益を還元します。

同社の経営トップは、人間の真のニーズに寄り添うテクノロジーこそが優れていると語ります。企業と個人が対立するのではなく、共感によって結びつく未来を目指すべきでしょう。私たち消費者が賢く、そして力強く行動することで、全員が恩恵を受けられる真のテック社会が実現するに違いありません。

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