お隣の韓国で、生活のインフラとも言えるコンビニエンスストアの営業スタイルが、今まさにガラリと姿を変えようとしています。実は韓国は、人口あたりの店舗数が日本の約1.7倍にものぼる世界屈指の「コンビニ過密国家」なのです。しかし現在、深夜の営業を取りやめる「時短営業」へと舵を切る店舗が急増しており、24時間営業を前提としてきた従来のビジネスモデルが大きな転換期を迎えています。
このトレンドを牽引しているのが、業界4位の「イーマート」です。同社が展開するブランド「emart24」では、なんと全店舗の8割が深夜営業を休止しています。2014年の事業参入という後発組ながら、オーナーが集まりやすいように最初から営業時間を選べる斬新な制度を導入しました。その結果、新規出店時の9割が時短営業を選択しており、2019年11月末時点で4438店舗にまで急急拡大を遂げています。
この大きな変化の背景にあるのが、韓国政府の主導で急速に進んだ「最低賃金」の大幅な引き上げです。文在寅(ムン・ジェイン)政権は2年間で最低賃金を29%もアップさせ、2019年には全国一律で時給8350ウォン(約790円)に設定されました。さらに深夜時間帯は法律で時給が1.5倍になる義務があるため、店舗オーナーたちからは「深夜にアルバイトを雇う余裕など到底ない」という悲痛な声が上がっています。
大手3社も追随!深夜の赤字から脱却へ
これまで24時間営業を原則としてきた上位3社も、この厳しい現実に動かされています。首位の「GS25」、2位の「CU」、3位の「セブンイレブン」は、深夜の損益が3カ月連続で赤字になった店舗には深夜休業を認める制度を開始しました。これにより、各社ともに全体の1割から2割の店舗がすでに深夜営業を取りやめています。SNS上でも「夜中に開いていないのは不便だけど、店主の負担を考えたら当然」と理解を示す声が目立ちます。
韓国のコンビニは日本の店舗に比べて小型店が多く、1日の売上高が日本の3分の1ほどにとどまるという構造的な弱点もあります。そこへ人件費や家賃の上昇が重なり、店舗のコスト負担は限界に達していました。深夜の配送ルートの見直しを急ぐ本部の柔軟なサポートも必須です。労働者の生活を守るための最低賃金引き上げが、皮肉にも店舗経営を圧迫し、街の明かりを消していくという現象は、深く考えさせられる問題だと言えるでしょう。
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