CVC投資はボランティアじゃない!国内CVCの28%が利回りマイナスという現実と求められる変革

大企業が革新的なアイデアや技術を持つスタートアップ企業と手を組み、新たな価値を生み出す「オープンイノベーション」が花盛りです。その中核を担う手法として、自社の事業資金を投じる「CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)」を設立する動きが、今まさに国内で活発化しています。しかし、その華やかなイメージの裏側で、運用が必ずしも軌道に乗っていないという驚きの実態が明らかになりました。SNS上でも「大企業の道楽投資になっているのでは」「本腰を入れないとスタートアップ側も不幸になる」といった厳しい声が上がっています。

経済産業省が2019年に実施した調査によると、驚くべきことに国内CVCの28%において、ファンド全体の「IRR(内部収益率)」がマイナスに陥っていることが判明しました。ここで言うIRRとは、投資にかかった金額に対して、将来どれだけの利益が得られるかを年平均の利回りで表した専門的な指標です。つまり、約3社に1社の割合で、預けたお金が減ってしまっている現状が浮き彫りになりました。これに対して海外のCVCでマイナスとなっているのは、わずか5%にとどまっているのが現状です。

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海外との格差を生む「会計基準」と「甘いシナジー期待」

日本と海外でこれほど大きな差が生まれている背景には、いくつかの要因が潜んでいます。まず挙げられるのが、帳簿上のルールである「会計基準」の違いです。海外では、まだ現金化されていない評価損益も計算に含める傾向があるため、数字が良く見えやすいという側面は否めません。しかし、本質的な問題はそこではなく、投資に対する根本的な姿勢にあると私は考えます。国内企業の多くは、目先の金銭的な儲けよりも、自社事業との「戦略的リターン(相乗効果)」をあまりにも重視しすぎているのではないでしょうか。

調査によると、「主に戦略的リターンを重視する」と答えた国内CVCは52%と過半数を占めました。一方、海外では「金銭と戦略の両方を追う」という回答が66%で最多となっています。国内のベンチャーキャピタル幹部からは、「事業連携さえできれば、投資利回りは低くても構わないと考える甘さがある」という手厳しい指摘も聞かれました。この姿勢が原因となり、スタートアップ企業の価値を実力以上に高く見積もって投資してしまい、結果として利回りが押し下げられているのでしょう。

持続可能なイノベーションへ!今こそマインドセットの転換を

ビジネスである以上、ボランティア精神だけで投資を続けることには限界があります。このまま低収益な状態が放置されれば、景気の後退局面などで、大企業の上層部から「スタートアップ投資は中止だ」と一刀両断される未来が容易に想像できるでしょう。そうなれば、日本のスタートアップ生態系にとっても大きな痛手となります。CVCは単なる社内ベンチャーの延長線上ではなく、厳しい金融市場で戦う投資ファンドであるというプロ意識を、今こそ胸に刻むべきです。

せっかくの素晴らしい技術やアイデアも、CVC側の甘い見通しによって潰されてしまっては元も子もありません。国内CVCに今強く求められているのは、事業面のメリットを追求しつつも、同時にプロの投資家として「金銭的リターン」に執着する貪欲さです。両輪が揃って初めて、スタートアップと大企業の幸福な関係は持続します。投資基準の厳格化や、社外の専門家を巻き込んだ目利き力の強化など、日本のイノベーションの火を消さないための抜本的な意識改革が急務と言えます。

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