2020年01月28日に開かれた衆院予算委員会において、日本の財政を揺るがす大きな議論が交わされました。事の発端は、安倍晋三首相が通常国会の初日に行った施政方針演説です。首相はその中で、現政権の経済政策が順調である証拠として、国の借金にあたる新規国債の発行額が「8年連続で減額している」と胸を張りました。しかし、この華々しい実績の裏には、一般的な感覚とは少し異なる「数字のカラクリ」が隠されていたのです。
この発言に対して鋭い追及を行ったのが、野党共同会派に所属する国民民主党の前原誠司元外相でした。前原氏は、実際の決算に目を向けると、2016年度や2018年度には前年度の発行額を上回っている事実を指摘したのです。さらに2019年度も最終的には増加する見込みとなっており、これでは財政規律、つまり国がルールを守って健全な財政を維持しようとする姿勢が崩れているのではないかと迫りました。
前原氏から「演説の内容は偽りではないか」と詰め寄られた安倍首相は、その表現は言い過ぎであると反論しています。首相の弁明によると、演説で示した数字はあくまで「当初予算」を基準にしたものであるとのことでした。当初予算とは、新しい年度が始まる前にあらかじめ計画される見積もりのことです。これに対して、年度の途中で予期せぬ事態に対応するために追加される「補正予算」を反映した決算ベースでは、確かに前年度を上回る年があったと認めました。
SNS上ではこの議論に対し、「最初に見せる数字だけを綺麗に整えても意味がない」「補正予算を乱発して借金を増やしているのは事実だ」といった厳しい批判が相次いでいます。その一方で、「災害大国である日本において、緊急時に機動的な財政出動を行うのは当然の処置だ」という政権擁護の声もあり、意見は真っ二つに分かれました。国民の多くが、政府の借金の実態やその公表のあり方に対して、強い関心を寄せている様子が伺えます。
メディアの視点から言わせていただければ、いくらスタート時点の当初予算を低く抑えて財政健全化の姿勢をアピールしても、途中で補正予算を重ねて借金が増えるのであれば、それは本質的な解決とは言えません。もちろん、想定外の危機に対して柔軟に予算を組むことは重要でしょう。しかし、国民に状況を説明する際には、誤解を招かないよう透明性のあるディスクロージャー(情報開示)を行うことこそが、誠実な政治の姿ではないでしょうか。
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