原油価格の行方は?OPECプラスが仕掛ける協調減産の強化とブラジル参入の思惑

世界のエネルギー市場が緊迫感を強めています。石油輸出国機構(OPEC)は、加盟国以外の産油国と足並みを揃えて原油の生産量を抑える「協調減産」の体制を、さらに強める動きを見せ始めました。市場に流通する原油の量を意図的に減らすことで、下落傾向にある原油価格を下支えし、引き上げることが主な狙いです。サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は2020年3月上旬に予定される会合において、さらなる供給削減も視野に入れていると言及しました。

SNS上では「ガソリン代がまた上がるのではないか」といった生活への影響を懸念する声が目立ちます。その一方で「産油国も価格維持に必死のようだ」と、冷ややかに市場を見守るユーザーも少なくありません。今回の動きを主導するサウジアラビアですが、最終的な方針決定には慎重な姿勢を崩していない状況です。アブドルアジズ王子は、2020年2月までの詳細な需給データを見極めなければ、市場が本当にここからの追加措置を求めているかは判断できないと語っています。

こうした緊迫した状況のなかで、新たな動きとして南米の雄であるブラジルがこの枠組みへ急接近していることが判明しました。同国のアルブケルケ鉱業・エネルギー相は2020年1月23日に、サウジアラビア側とエネルギー分野の協力体制について議論を行う方針を明らかにしています。2020年中には具体的な協議が進む見通しであり、産油国側の結束がさらに強まる可能性が出てきました。実現すれば市場への影響力は一段と高まるはずです。

ここで注目すべきは、ブラジルが持つ世界的なシェアの大きさでしょう。同国はOPECには加盟していませんが、2018年時点の原油生産量は世界全体の約3%を占めるほどの規模を誇ります。これほどの実力派が協調減産の列に加われば、市場へのアナウンス効果は絶大と言えます。OPECは2017年1月からロシアなどの主要な非加盟国と「OPECプラス」と呼ばれる強固な枠組みを形成し、これまでもしぶとく供給量の調整を続けてきました。

直近の2020年1月にも、彼らは日量50万バレルほど減産規模を拡大したばかりです。この現行の取り決めは2020年3月末で期限を迎えるため、期間の延長はもちろんのこと、さらなる削減に踏み込むかが次なる焦点となります。しかし、これほどの手を打ってもなお、原油価格の上昇が見通せないところに現代のエネルギー市場が抱える深い闇があります。供給を絞っても価格が上がらない異常事態が、産油国を焦らせているのでしょう。

実際のところ、原油の国際的な指標である北海ブレントや米WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は、どちらも1バレル50ドル台という低い水準で停滞したままです。2020年1月上旬にはアメリカとイランの軍事的な衝突リスクが高まり、一時的に価格が跳ね上がる局面もありました。不穏な政情は価格を押し上げる要因になりますが、地政学的なリスクによる上昇効果は長続きせず、市場の冷え込みを救う決定打にはなっていません。

原油価格が伸び悩む背景には、世界規模で加速する環境意識の高まりが存在します。地球温暖化を防ぐ気候変動対策として、多くの消費国が石炭や石油といった化石燃料から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーへシフトしているためです。この構造的な需要減に加え、足元では中国を発端とした新型肺炎の感染拡大が、世界経済の新たな脅威として浮上してきました。人々の移動や物流が制限されれば、燃料需要が激減するのは避けられません。

金融市場全体がこの感染症の拡大に動揺しており、原油相場の先行きには強い不透明感が漂っています。筆者の視点としては、産油国がいくら供給側の蛇口を閉めたとしても、世界的な需要そのものが急減している現状では、価格の劇的な回復は極めて難しいと考えます。環境シフトという時代の潮流に加え、突発的な感染症リスクが重なった今、OPECの伝統的な価格コントロール手法は限界を迎えているのかもしれず、今後の会合の行方に要注目です。

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