世界初、スウェーデンがマイナス金利に幕!5年の実験がもたらした家計債務と通貨安の副作用とは?

世界最古の中央銀行であるスウェーデンのリクスバンクが、世界に先駆けてマイナス金利政策の幕を閉じる決断を下しました。マイナス金利とは、銀行が中央銀行にお金を預けると利息を支払わなければならない異例の政策のことです。本来は景気を刺激するための劇薬でしたが、当初の予想を超えて5年もの長期に及び、経済への副作用が無視できないレベルに達してしまったようです。ネット上でも「ついに限界が来たか」「日本への影響はどうなる?」と、今後の動向に大きな注目が集まっています。

2019年12月の金融政策決定会合において、イングベス総裁は「ゼロに戻すのに5年もかかるとは想定外だった」と本音を漏らしました。短期間で景気と物価を押し上げる狙いがあったものの、多くの国と同様に出口を見失っていたのです。このままマイナス金利が当たり前になると、企業や個人がリスクの高い行動を取り始め、経済に悪影響を及ぼすリスクがあると判断されました。特に、民間銀行が一般の預金金利までマイナスにすれば、預金の流出や過剰な投資を招きかねないと警戒されたのです。

実際に、スウェーデンでは危うい兆候が表面化していました。マイナス金利の導入以降、銀行による家計向けの融資は毎年5%を超える勢いで増え続けています。家計の借金が自由に使えるお金(可処分所得)に対して190%に迫るという、金融危機前の米国を超える異常事態に陥っているのです。超低金利による貸出拡大は、将来のバブル崩壊という大きなリスクと裏返しであり、住宅市場の加熱をいかに軟着陸させるかが、同国経済の最大の懸念材料となっています。

さらに、この政策の目玉だった「自国通貨安」の効果にも疑問の声が上がっています。金利が下がれば通貨クローナ安が進み、輸出企業が有利になるほか、輸入物価の上昇でインフレ目標の2%を達成できるはずでした。しかし現実は、デジタル化による競争激化のせいで、仕入れ価格が上がっても製品に価格転嫁できない小売業などの悲鳴が相次いでいます。SNSでも「物価だけが上がって生活が苦しくなる」といった市民のリアルな不安が拡散されており、効果への疑問が浮き彫りになりました。

通貨安は一部の輸出を支えたものの、産業構造が変わった現代では、経済全体を牽引するほどのパワーを失っています。むしろ、実力以上に通貨が安くなりすぎると将来の急激な反発を招き、企業の投資意欲を削ぐ結果になりかねません。企業の5社に3社がマイナス金利や手数料の負担を強いられており、ビジネスの現場には重苦しい空気が漂っています。「どうしても必要でないなら、マイナス金利はない方がいい」という副総裁の言葉が、この5年間の実験の難しさを物語っているでしょう。

今回のリクスバンクの決断は、中央銀行の限界を示す重要な一歩だと私は考えます。経済を強引に刺激し続けることの恐ろしさは、まさにこの家計の債務膨張に現れているのではないでしょうか。その一方で、欧州中央銀行(ECB)は2019年9月にさらなる利下げに踏み切ったばかりであり、世界の中央銀行の対応は真っ二つに分かれています。景気回復への近道はどこにあるのか、世界経済を揺るがす新たな実験の行方から目が離せません。

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