トランプ米大統領は2020年01月29日、北米自由貿易協定に代わる新たな枠組み「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」の実施法案に署名を行いました。大統領選挙を控える中で、日本や中国に続く貿易協定の締結となり、ホワイトハウスでの署名式は非常に華やかな熱気に包まれています。トランプ氏は過去の協定を失敗と断じ、今回の一歩を歴史的な快挙だと胸を張る様子が印象的です。
SNS上では、この劇的な方針転換に対して「アメリカの雇用を守る素晴らしい決断だ」という歓喜の声が溢れています。その一方で、「自動車の価格が高騰するのではないか」といった消費者の不安や悲鳴も数多く見られ、まさに賛否両論の嵐が巻き起こっている状況です。国家が市場に介入して取引をコントロールする「管理貿易」の手法に対して、世界中の経済アナリストたちが熱い視線を注いでいます。
自動車業界に激震!厳しい新ルールの正体
今回の新協定における最大の注目点は、自動車の関税をゼロにするための「原産地規則」が大幅に厳格化された部分でしょう。原産地規則とは、製品が特定の地域で作られたことを証明するためのルールのことです。域内での部品調達比率を従来の62.5%から75%へ段階的に引き上げることが義務付けられ、さらに生産の4割を時給16ドル以上の高賃金工場で行うよう求めています。
この基準は、安価な労働力に頼ってきたメキシコの工場にとって極めて厳しいハードルとなるでしょう。事実上、メキシコからアメリカ国内へ生産拠点を移すよう促す強力な仕掛けです。すでに欧米の大手自動車メーカーがピックアップトラックの生産を米国へと移管する計画を進めており、トランプ政権は今後5年間で自動車業界に7万6000人の新規雇用が生まれると強気な試算を掲げています。
日系メーカーの苦悩と忍び寄る保護主義の影
しかし、この劇的なルール変更は自動車を製造する企業や消費者に重い代償を強いる可能性を秘めています。メキシコを重要な輸出拠点としてきたトヨタや日産、ホンダなどの日系メーカーは、これまでの柔軟な部品供給網を見直さざるを得ません。コストの増大は避けられない見通しであり、専門家の試算では自動車価格が最大で1.6%上昇し、販売台数が落ち込むとの懸念も浮上しています。
編集部としては、この協定が「自由貿易」の看板を外し、数値目標を押し付ける姿勢に強い危惧を抱かざるを得ません。厳しいルールを嫌った企業があえて関税を支払う選択をすることで、米政府の税収が増えるという皮肉な予測も出ています。目先の雇用創出という果実の裏には、世界の経済成長を停滞させかねない新たな保護主義という深い罠が潜んでいるのではないでしょうか。
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