2020年1月30日、JR東日本は2020年3月期の連結純利益が前期と比較して10%減となる2650億円に落ち込む見通しを発表しました。当初の予想から360億円もの下方修正となり、当初の増益計画から一転して減益という厳しい着地が予想されています。今回の発表を受け、投資家や鉄道ファン、そして日々の移動を支える利用者からは、突然の業績悪化に驚きを隠せないといったSNS上の書き込みも散見されます。
特別損失の正体――台風19号の爪痕
今回の業績見通し悪化の主な要因は、2019年10月に日本列島を襲った台風19号による甚大な被害です。JR東日本はこれに伴い、285億円もの特別損失を計上せざるを得ませんでした。特別損失とは、企業活動において通常発生する費用とは異なり、災害や火災など突発的な事象によって生じた損失のことを指します。企業が本来の営業活動で稼ぎ出した利益を、こうした予期せぬ損失が削り取ってしまう形となったのです。
この特別損失の内訳には、浸水した北陸新幹線の車両8編成の廃車費用が含まれています。帳簿価額ベースで118億円という巨額の損失です。さらに、被災した線路や駅といったインフラの復旧費用として約165億円が計上されました。特に浸水被害を受けた長野新幹線車両センターについては、設備保有者である鉄道建設・運輸施設整備支援機構と現在も費用負担や復旧方針について協議を続けている状況です。
私個人としては、日常の交通インフラがこれほど大規模な自然災害に対して脆弱であることを改めて突きつけられた思いです。鉄道は公共性が非常に高いサービスですが、今回の出来事は、安全で安定した運行を維持するためのコストが、いかに予測困難なリスクにさらされているかを浮き彫りにしたのではないでしょうか。インフラ維持という壮大な挑戦に対し、企業努力だけでは限界があるという現実を重く受け止めるべきでしょう。
業績全体への波及と今後の展望
今回の発表により、通期の売上高も前回予想から290億円引き下げられ、3兆410億円となる見込みです。営業利益についても5%減の4590億円へと修正されました。同日に公開された2019年4月から12月までの第3四半期決算においても、純利益は前年同期比で8%減の2515億円となっており、台風の影響が数字として色濃く反映された格好です。
今後の懸念は、インフラの強靭化(レジリエンス)をいかに進めていくかという点に集約されるはずです。今回の災害を単なる損失として処理するのではなく、二度とこれほどの被害を出さないための対策をどれだけ迅速に打ち出せるかが、今後の企業としての信頼にも繋がります。JR東日本がこの苦境を乗り越え、より安全な移動空間を再構築してくれることを多くの利用者が期待しているはずです。
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