三陸鉄道が台風19号で一転赤字へ。不通区間の復旧計画と支援の輪が広がる現状を徹底解説

岩手県の沿岸部を駆け抜ける希望の光、三陸鉄道が今、大きな試練に直面しています。2019年11月18日、同社の中村一郎社長は記者会見を行い、2020年3月期の業績見通しが当初の黒字予想から一転し、大幅な赤字に陥る可能性を明らかにしました。10月時点では約3000万円の最終黒字を見込んでいただけに、この急転直下の状況は地元住民や鉄道ファンに大きな衝撃を与えています。

この苦境の最大の要因は、2019年10月に日本列島を襲った台風19号による甚大な被害です。現在、全路線の約7割という広範囲が不通となっており、三陸鉄道の経営を激しく圧迫しています。SNS上では「震災を乗り越えた三鉄ならきっと大丈夫」「微力ながら応援したい」といった温かい激励の声が溢れる一方で、路線の維持を心配する切実な意見も散見されており、事態の深刻さが浮き彫りとなっているのです。

具体的な被害状況を見ると、10月だけで団体予約や、被災地の現状を車内で学ぶ「震災学習列車」などのキャンセルが239件も発生しました。これに通勤・通学定期の払い戻しを加えた減収額は約998万円に達しています。さらに、鉄道の代わりに走らせている代行バスの運行経費も膨らんでおり、10月分だけで約1163万円を計上しました。売上の減少とコストの増加という二重苦が、同社の背に重くのしかかっています。

経営を揺るがす数字はこれだけではありません。線路や設備の復旧にかかる費用は、なんと約20億円にものぼると試算されています。三陸鉄道のような第三セクター方式、つまり自治体と民間企業が共同で出資する運営形態の鉄道会社にとって、これほどの巨額費用を自社だけで賄うのは至難の業です。しかし、そんな逆境の中でも、三陸の鉄路を守ろうとする支援の輪が全国各地で急速に広がっています。

同社が2019年10月16日に開設した義援金口座には、わずか1ヶ月で企業や個人から約2113万円が寄せられました。さらに、インターネットを通じた寄付も2019年11月18日時点で約309万円に達しており、三陸鉄道がいかに多くの人々に愛されているかが証明された形です。私は、この「応援の可視化」こそが、赤字という数字以上に復旧への大きな原動力になると確信しており、公的な支援と並行して民間からの熱意が不可欠だと感じます。

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聖火リレーを目指して!段階的な運行再開へのロードマップ

暗いニュースばかりではありません。中村社長は会見で、待望の運行再開に向けた具体的なスケジュールを公表しました。まず、2019年11月28日には宮古駅から津軽石駅の間で運転を再開します。これを皮切りに、12月中には津軽石駅から陸中山田駅、および田老駅から田野畑駅の間でも列車が再び走り出す予定です。一歩ずつ、着実に日常を取り戻そうとする同社の姿勢には、編集部としても強く胸を打たれます。

残る陸中山田駅から釜石駅、そして田野畑駅から久慈駅の区間についても、2020年3月中の復旧を目指す方針が示されました。ここには大きな目標があります。それは、2020年3月22日に予定されている東京五輪の聖火輸送イベントです。宮古から釜石の間で聖火を運ぶという晴れ舞台に間に合わせるため、現場では懸命な作業が続けられるでしょう。このイベントは、三陸の復興を世界に発信する絶好の機会となるはずです。

三陸鉄道は単なる移動手段ではなく、地域の誇りであり、復興の象徴そのものです。今回の赤字転落は非常に厳しい現実ですが、苦境のたびに立ち上がってきた歴史が彼らにはあります。莫大な復旧費用を前にしても、多くの支援者が背中を押している現状を見れば、必ずや全線開通の日は訪れるでしょう。私たちはこれからも、荒波に立ち向かう「三鉄」の動向から目が離せません。

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