2020年2月3日、国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事が、世界中を揺るがしている新型コロナウイルスによる肺炎について、その経済的影響に強い懸念を示しました。ゲオルギエバ氏は、今回の感染拡大が世界経済の成長に対し、短期的にブレーキをかける要因になると指摘しています。生産活動の停止やサプライチェーン(製品の供給網)の混乱、さらには旅行・観光ビジネスへの甚大な打撃が懸念されているのです。
SNS上でも、「経済への影響がどこまで広がるのか」「生活はどう変わるのか」といった不安の声が日々高まっており、投資家たちの間でも先行きの不透明感から市場の動揺が見られます。2020年1月31日の米国株式市場でダウ工業株30種平均が大幅に下落したことは、まさに市場が抱く警戒心の強さを如実に物語っていると言えるでしょう。
かつてのSARSとは違う「中国経済の重み」
ゲオルギエバ氏は、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の際を例に挙げました。当時、世界経済への影響は限定的でしたが、現在は状況が異なります。中国が世界経済に占める割合は、当時から現在にかけて4%から18%へと劇的に拡大しました。そのため、今回の混乱が世界に与える下押し圧力は、SARSの時とは比較にならないほど強くなっているというのです。
IMFは当初、2020年の世界経済の成長率を3.3%と予測していましたが、現在の状況は「リスクが下向きに傾いている」と言わざるを得ません。不確実な要素が山積しており、経済環境は極めて慎重に見極める必要があります。私自身も、世界第2の経済大国である中国の動向が、現代においてこれほどまで瞬時に世界全体へ波及することに、グローバル経済の脆さと相互依存の深さを改めて突きつけられた思いです。
求められる「金融緩和」と新たなデジタル通貨への課題
このような危機的な状況下で、ゲオルギエバ氏が主要国の中央銀行に強く求めたのが「金融緩和」の維持です。金融緩和とは、景気を下支えするために中央銀行が市場にお金を供給しやすくする政策で、金利を引き下げて借り入れを促すことなどが一般的です。2019年に世界中の49もの中央銀行がこの舵を切ったことで、世界経済は何とか景気後退を免れることができました。
しかし、同時に警鐘も鳴らされています。世界全体の債務残高は、2008年の金融危機前を上回る高水準に達しており、投資家が利回りを求めて過度なリスクを負うことへの注意が必要です。また、話題の中央銀行デジタル通貨(CBDC)についても、送金コスト削減などの利点がある一方、サイバー攻撃や銀行システムへの悪影響といった深刻なリスクがあるため、慎重な対応が不可欠であると釘を刺しています。
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