スマートフォンゲームが市場を席巻する現代においても、ゲームセンターなどで見かける業務用ゲーム機は、根強い人気を誇っています。特に近年注目を集めているのが、ショッピングモール内のゲームコーナーです。神奈川県相模原市に拠点を置くアムジーは、このショッピングモール向けの**「子ども向けゲーム機」の開発・製造・販売に特化することで、大手ゲームメーカーとは一線を画した独自の地位を築き上げているのをご存じでしょうか。
同社の創業者は、ゲーム業界のレジェンドである川村康則会長です。川村会長は1970年代後半に、一世を風靡した伝説的なゲーム「スペースインベーダー」の開発に携わったことで知られています。さらに、ゲーム機をテーブル型にすることで、従来のゲームセンターだけでなく、喫茶店にも販路を広げることに成功した立役者でもあります。この斬新なアイデアと行動力が、後のアムジーの事業戦略にも深く根付いていると言えるでしょう。
川村氏はその後、シグマやサミーといったゲーム機メーカーを渡り歩きました。そして、タイトー時代からの部下であった内田尚志社長らとともに独立し、2003年にアムジーを設立いたしました。独立に際して、彼らが掲げたのが「大手メーカーとは直接勝負しない」という明確な方針です。そこで採られた戦略こそが、ニッチな市場である「子ども向けゲーム機に特化する」ことだったのです。
かつてから「モグラたたきゲーム」のような、子どもでも楽しめる機械式のゲーム機は存在していましたが、時代の流れとともにそうした機種は衰退しつつありました。この状況をチャンスと捉えたアムジーは、現代的な「液晶ディスプレーを使ったコンピューターゲーム」の形を取り入れながらも、子どもたちが夢中になれるようなシンプルで直感的なゲームの開発を推し進めています。内田社長が語るように、「遊びの本質は昔と変わらない」という信念に基づき、鬼ごっこやじゃんけんといった、古くから親しまれてきた遊びの要素をモチーフにしているのが特徴です。
ここで特筆すべきは、「テレビアニメなどのキャラクターは一切使わない」という徹底した方針でしょう。川村会長によれば、キャラクターものはテレビ放映が終わると途端に売れ行きが落ちるリスクがあるうえ、キャラクターの権利使用料、すなわちライセンス料が高くつき、コストが増大してしまうからです。この判断は、コストを抑え、長期的に安定した需要を見込める機種を供給するための、極めて合理的かつ堅実な経営戦略であると評価できます。
また、価格戦略においても、大手メーカーとの差別化が顕著です。大手メーカーの子ども向けゲーム機が1台500万円以上することも少なくないなか、アムジー製品の価格帯は20万円から300万円に抑えられています。川村会長は、「ゲーム代収入で半年で償却できる機種であれば売れる」と語っています。人気機種になると、なんと1か月から3か月で初期投資を回収できるケースもあるというのです。この短期間での償却(初期投資の回収)が可能であることが、ゲームコーナー運営者にとって大きな魅力となり、アムジー製品の導入を後押ししている要因でしょう。
一方で、自社で開発したゲームが中国で安易にコピーされてしまうという、著作権に関する課題にも直面しています。しかしその一方で、台湾企業などからはライセンス料収入**を得られるようにもなっており、ビジネスモデルの多角化にも成功しています。2019年6月5日時点において、アムジーは今後もアジア地域でのビジネスを拡大していく方針を示しており、その動向から目が離せません。子どもたちの笑顔を生み出すアムジーの挑戦は、これからも続いていくでしょう。
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