いま、世界中が新型肺炎の感染拡大という新たな試練に直面しています。このニュースを受けて、人々の不安は瞬く間にSNSへと広がり、「旅行やイベントの中止が経済に与える影響は計り知れない」「仕事や物流にどこまで影響が及ぶのか見当がつかない」といった投稿が相次いでいます。まさに世界経済の先行きには、かつてないほど暗い影が差し始めていると言えるでしょう。
振り返れば、2019年の世界経済は決して好調とは言えませんでした。国際通貨基金(IMF)が発表したデータによると、2019年の世界の実質経済成長率は2.9%にとどまり、これは10年ぶりの低水準です。この主な要因は、米国と中国による貿易戦争でした。二国間が輸入品に高関税をかけ合うという極めて異常な事態は、世界中のビジネスに大きな負荷をかけ続けてきたのです。
その後、米中貿易交渉において第1段階の合意がなされたことで、最悪のシナリオは回避されたかに思えました。IMFも2020年には世界全体で3.3%の成長へと持ち直すと予測しています。しかし、依然として英国の欧州連合(EU)離脱に伴う混乱や、米国とイランの対立といった火種は消えていません。世界経済の足元は、もともと脆弱な地盤の上に立っていたのです。
相互依存が進む世界で、求められる冷静な対応
そこに、今回の新型肺炎が追い打ちをかけています。現在、米国連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長もその深刻さを強調し、経済への影響を強く警戒しています。ここで改めて理解しておきたいのが「グローバル化」という言葉です。これは、各国の経済が相互に深くつながり、助け合っている状態を指します。裏を返せば、一カ国で起きた混乱が世界中に連鎖しやすい構造でもあるのです。
現地の中国では、工場の操業停止や物流の混乱が続いています。これによる経済的なダメージの深さがどれほどになるのか、いま世界中の専門家が固唾をのんで見守っています。多くの調査機関は、2003年に猛威を振るった重症急性呼吸器症候群(SARS)の事例を引き合いに、今回の影響も短期間で収束することを期待していますが、現実はそう甘くないかもしれません。
私個人としては、今回の危機を乗り越えるためには、まず何よりも新型肺炎の早期封じ込めが最優先であると確信しています。感染が収まらなければ、経済活動の正常化は望めないからです。その上で、各国当局は過剰にパニックにならず、しかし景気が予想以上に冷え込んだ場合には、財政出動(政府が積極的に支出を行うこと)や金融緩和(金利を下げて市場へ資金を供給しやすくすること)といった政策的な準備を整えておくべきです。
2019年10月から12月にかけて、中国は6.0%、米国は2.1%の成長率を何とか維持しました。一方で日本は、消費税増税の反動が重なり、マイナス成長が避けられない見通しです。世界経済が正念場を迎えている2020年2月2日現在、私たちはこの新型肺炎という試練を、各国が連携して乗り越えていく姿を注視しなければなりません。
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