自動車業界が激動の渦中にある2020年2月3日、素材メーカー大手の帝人が大きな動きを見せました。ドイツに自動車部品の研究開発を担う子会社を新たに設立すると発表したのです。自動車の未来を大きく左右するCASEというキーワードをご存知でしょうか。これはコネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化の頭文字を取ったもので、現代の自動車産業における最優先の課題とされています。
特に電気自動車(EV)へのシフトが進む中で、電池の重さを補うための「車体の軽量化」は避けて通れない命題です。そこで注目されているのが、複数の素材を組み合わせて高い強度と軽さを両立する「複合材料」です。帝人は今回、この分野における欧州での開発拠点として「テイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパ(TACE)」をドイツのヴッパータール市に開設することにしました。
欧州の自動車メーカーを巻き込む戦略的拠点
新会社であるTACEは、帝人が以前から保有していた現地子会社の敷地内に誕生します。少人数の精鋭スタッフを配置し、今後はガラス繊維樹脂(GFRP)を活用した外装部品の開発や、耐久性などの厳しい評価試験を現地で一貫して行う計画です。これまで遠く離れた日本や他の拠点で検証していたプロセスを欧州のど真ん中で完結させることで、自動車メーカーとの共同開発がより迅速かつスムーズになるでしょう。
このニュースに対するSNS上の反応も熱を帯びています。「ついに帝人が本気を出した」「欧州メーカーの軽量化ニーズを取り込む賢い戦略だ」といった期待の声が多数見受けられます。確かに、ここ数年の帝人の攻めの姿勢には驚かされるものがあります。2017年には米コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックスを、2019年にはチェコのベネット・オートモーティブを買収するなど、着々とグローバルな生産体制を整えてきた実績があるからです。
軽量化技術の進化が未来の移動体験を変える
帝人の執行役員である中石昭夫氏は、数年以内の具体的案件の獲得を目指すと力強く語りました。私は、この動きこそが今後の日本の素材メーカーが世界で勝ち抜くためのロールモデルになると考えています。単なる材料の供給者にとどまらず、自動車メーカーの製品企画段階から深く入り込み、技術的な課題を共に解決する「パートナーシップ」を構築する。この姿勢こそが、CASEという未知の領域を突破する鍵となるはずです。
軽量化は単に燃料効率を上げるだけでなく、快適な走行体験にも直結します。日本の高い技術力がドイツの自動車産業と融合し、どのような革新的な製品が誕生するのか。数年後の自動車の姿が、今から非常に楽しみでなりません。素材の進化が私たちの未来の移動手段をどう変えていくのか、これからも帝人の挑戦から目が離せませんね。
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