世界が注目する「新しい資本主義」の行方――今こそ紐解きたい日本の伝統と「三方よし」の精神

スイスの美しい山々に囲まれたダボスで、2020年1月に世界経済フォーラムの年次総会、通称「ダボス会議」が開催されました。今年の大きなテーマは「資本主義の再定義」です。利益を追求するだけでなく、環境や社会、ガバナンスを重視するESG(環境・社会・企業統治)経営が叫ばれるいま、企業のあるべき姿が問われています。これに関連して、ビジネスパーソン向け投稿プラットフォーム「COMEMO」では、熱い議論が交わされました。

特に注目すべきは、日本企業が古くから実践してきた経営哲学への再評価です。日本総合研究所の黒田一賢さんは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のCIOである水野弘道さんの言葉を引用し、日本企業が伝統的に大切にしてきたステークホルダーへの配慮に注目しました。ステークホルダーとは、株主や従業員だけでなく、顧客や仕入れ先、地域社会など、企業活動と利害関係を持つすべての人のことを指します。

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「三方よし」は現代のESG経営の先駆けか

黒田さんは、このステークホルダーを大切にする姿勢は、江戸時代の商人の家訓にある「三方よし」に通じると指摘します。これは「売り手よし、買い手よし、世間よし」という考え方で、自分たちの利益だけでなく、社会全体の幸福を追求するものです。欧米から輸入されたESGという概念も素晴らしいですが、日本には独自の文化的背景を持つ、サステナブル(持続可能)な経営の土壌がもともと存在していたといえるでしょう。

また、コモンズ投信会長の渋沢健さんは、「日本の資本主義の父」と称される渋沢栄一の「合本資本主義」を引き合いに出しました。これは多くの人から資本を集め、社会全体で信用を創造していくという考え方です。現代でいうステークホルダー資本主義そのものといえます。今、世界が目指している資本主義の姿は、実は日本の原点にこそ存在していたのかもしれません。私たちはもっと自信を持って、この素晴らしい伝統を現代に適合させるべきではないでしょうか。

物理的な距離を超えて、ダボスから何を学ぶか

一方で、ダボス会議という場そのものについても興味深い意見が寄せられています。EYトランザクション・アドバイザリー・サービスの小林暢子さんは、普通に働く日本人にとってダボスは遠い存在に感じられがちだと述べた上で、それでも参加する意義は大きいと評価しています。サミットのような堅苦しい政治の場とは一味違う、企業の「オフサイト研修」を大きくしたような独特の雰囲気の中、アナログなつながりが大きな価値を生み出しているのです。

SNS上でも、「グローバルな潮流に翻弄されるのではなく、日本の強みを再発見する良い機会になった」「資本主義の未来を語る上で、日本企業の哲学は世界への素晴らしいギフトになるはずだ」といった声が多く聞かれます。単なる形式的な言葉遊びに終わらせず、私たちが日々働く企業の実践として、どのようにこの精神を組み込んでいけるかが、これからの時代の分かれ道になるのかもしれません。

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