世界中の中央銀行が新たなお金の形を模索する中、金融の最前線で驚くべき逆転現象が起きています。日本銀行や欧州中央銀行が共同で基礎的な研究を進める一方で、なんと新興国が次々とデジタル通貨の実用化へと駒を進めているのです。SNS上でも「まさか新興国が金融の未来をリードするとは驚きだ」「キャッシュレス化のスピードが尋常ではない」といった驚きの声が多数寄せられ、大きな話題を呼ぶことになりました。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)とは何か?
そもそも、最近よく耳にする「CBDC」とはどのようなものなのでしょうか。これは「Central Bank Digital Currency」の頭文字を取った言葉で、国家の中央銀行が直接発行するデジタル通貨を指します。ビットコインのような民間の暗号資産とは異なり、国がその価値をしっかりと保証するため、価格の変動が少なく安心して決済に利用できるのが最大の強みと言えるでしょう。
国際決済銀行の調査によれば、現在世界にある中央銀行の約8割がこのCBDCに関する研究を進めているそうです。しかしながら、先進国の多くはセキュリティやシステムの安定性を確認するための技術的な検証段階にとどまっています。そんな慎重な先進国を尻目に、カンボジアやカリブ海の国々といった新興国が一足早く実用化のアクセルを踏み込んでいるのが、2020年2月5日現在の最新状況なのです。
巨大IT企業と大国がもたらす未曾有の危機感
なぜ新興国はこれほどまでに導入を急ぐのでしょうか。その背景には、Facebookが計画する国境なきデジタル通貨「リブラ」や、中国が推し進める「デジタル人民元」に対する強い警戒感が潜んでいます。とりわけリブラは、世界中にいる約17億人の「銀行口座を持たない人々」をターゲットにしており、スマートフォンのアプリ一つで手軽な送金や決済を可能にしようとする壮大な計画です。
自国の通貨に対する信用が比較的弱い新興国にとって、こうした利便性の高いグローバルなデジタル通貨が流入することは、まさに国家の存亡に関わる死活問題になりかねません。国民が自国通貨を使わなくなれば、中央銀行が金利を調整して景気をコントロールする「金融政策」が全く機能しなくなる恐れがあるからです。野村総合研究所の専門家も、この現状について強い懸念を表明していました。
国家の通貨主権を守るための先進的な取り組み
こうした脅威に対抗するため、カンボジアの中央銀行は2019年7月に独自のデジタル通貨「バコン」の試験発行に踏み切りました。首都プノンペンではすでに数千人が専用アプリをダウンロードし、飲食店の支払いや個人間の送金に活用しており、2020年3月には全国規模での本格導入が予定される見通しです。同国では国民の約8割が銀行口座を持たないため、早急な自国民の「囲い込み」が急務となっているわけです。
また、太平洋に浮かぶマーシャル諸島共和国も2019年9月に、新たなデジタル通貨「ソブリン」の流通に向けた事前受け付けを開始しました。同国は長らく米ドルを法定通貨として使用してきましたが、最新のブロックチェーン技術などを駆使することで、自国独自の通貨を発行し、失われた通貨主権を取り戻そうという力強い狙いを持っています。
島国が抱える特有の事情と今後の展望
カリブ海地域でも動きは活発化しており、東カリブ諸国機構の中央銀行は2019年3月に独自のデジタル通貨発行を発表し、2020年からの試験導入を見込んでいます。同中央銀行は2021年までに域内での現金使用を半分にする計画を掲げており、バハマの中央銀行も2020年中の発行を計画中です。これは島国ならではの深刻な悩みである、現金輸送の莫大なコストや出稼ぎ労働者の国際送金手数料を削減しようと目論んでいるのです。
一連の動向から、テクノロジーの力で既存のインフラ課題を一気に飛び越える「リープフロッグ現象」が金融分野でも起きていると私は強く実感させられました。しかし同時に、国家が個人の決済情報をすべて把握できるシステムは、プライバシー保護の観点から大きな問題をはらんでいるのも事実でしょう。新興国の果敢な挑戦が我々の生活にどのような影響をもたらすのか、その行方を注意深く見守っていく必要があります。
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