2019年の全国企業倒産は、負債1000万円以上の件数が8354件を記録しました。長らく続いていた倒産の減少傾向に歯止めがかかり、今後増加傾向へ転じる可能性が高まっています。この背景には金融機関の再編に伴う、融資先企業の徹底的な実態調査があります。
近年、これまで表面化しなかった企業の不適切会計、いわゆる「粉飾決算」が次々と発覚しています。これは金融機関が自己査定を厳格化し、融資先のデューデリジェンス(資産価値やリスクの精査)に力を入れているためです。まさに、銀行の再編が融資先の選別、そして淘汰の引き金となっているのです。
急増する老人福祉施設の倒産と構造的問題
社会全体のトレンドとして深刻なのが、老人福祉事業者の倒産件数が過去最多となった事実です。高齢化が進む日本において、なぜこの分野で倒産が増え続けているのでしょうか。根底には、2000年4月に施行された介護保険法をきっかけとした、過度な参入ブームによる競争激化があります。
介護保険法とは、介護が必要な高齢者に対するサービス費用を、税金や保険料を財源として給付する制度です。当時、不況下で新たな収益源を求めた中小企業が、将来の高齢化を見越してこぞって新規参入しました。通所・訪問介護の施設数は、2000年の1万7870件から、2017年には7万9400件と爆発的に増加したのです。
この急激な拡大により、業界の脆弱性が露呈しました。見通しの甘い事業計画やノウハウ不足のまま参入した業者が多く、競争の激化に耐えられなくなったのです。2015年の介護報酬改定による引き下げなども追い打ちをかけ、経営は一段と厳しさを増しました。SNS上でも「身近に施設が増えたが、経営が成り立っているのか疑問だった」「介護の質より数だけ増えても意味がない」といった不安の声が散見されます。
私たちに求められる「見極める眼」
現状では、倒産した事業者の多くが業歴の浅い小規模なケースであり、利用者への影響は限定的です。しかし、2019年には預かり金の流用疑惑などが報じられた大規模事業者の民事再生法申請もありました。今後、中規模以上の事業者が経営危機に陥るリスクは否定できません。
私たちが老人福祉施設を選ぶ際は、単に近さや入居のしやすさだけで判断してはいけません。その施設が健全な経営基盤を持っているか、サービス提供のノウハウが蓄積されているかなど、多角的な視点を持って慎重に検討する必要があります。私たちの家族の未来を守るためにも、厳しい目で選ぶ姿勢が今こそ求められています。
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