東京という街が、今、大きな転換期を迎えています。かつて留学生といえば都内の大学を目指すのが定番でしたが、2020年2月6日現在の状況を紐解くと、地方の国立大学へ羽ばたく若者が急増しているのです。たとえば新宿にある千駄ケ谷日本語学校では、2019年に都外の大学へ進学した学生が56人に達しました。これはわずか3年前と比べて2倍近くという驚異的な数字です。
なぜ、多くの留学生が東京を離れるという選択をするのでしょうか。その背景には、東京の難関校と熾烈な競争を避け、自身の学びを深められる環境を求める現実的な戦略があります。ネット上でも「都会の華やかさよりも、専門性を磨ける地方の国立大に惹かれる」「奨学金や学費の面で地方の方が生活しやすい」といった声が多く聞かれ、留学生たちの賢明な進路選択がSNSでもポジティブに捉えられています。
東京は「供給拠点」へ、外国人材の地方分散が加速
総務省の統計によると、東京都は2019年に3年連続の外国人転出超過となっており、その数は3千人以上にまで広がりました。特に目立つのは20代前半の若者たちです。新宿区や豊島区など、本来であれば日本語学校が多く集まるはずのエリアから、彼らは着実に全国各地へと拠点を移しているのです。
ここで、少し専門的な解説を付け加えましょう。日本の日本語学校は全国に774校存在しますが、その3割が東京に集中しています。しかし、都内の大学や専門学校への在籍率は3割程度にとどまる一方、全国の日本語学校に在籍する留学生の約半数が都内の学校に在籍しているというデータがあります。この「ギャップ」こそが、東京から地方へ向かう人口移動を裏付ける決定的な事実なのです。
明確なビジョンと地域活性化の架け橋
地方への進学を決める留学生たちの多くは、非常にリサーチ熱心な理系学生です。かつてのように「日本の有名大学しか知らない」という状況は終わり、自身の学びたい分野がどこにあるのかを冷静に見極めています。また、日本医療ビジネス大学校のように、商業簿記やパソコンスキルを磨き、地方のホテルや旅館へ就職するケースも珍しくありません。
ニッセイ基礎研究所の吉田資主任研究員も指摘するように、若年層が減少する地方にとって、外国人材はまさに地域の未来を支える貴重な存在です。2014年と2019年を比較した15歳から29歳の外国人増加率では、沖縄県や福島県が上位を占めています。人手不足という喫緊の課題を抱える地域と、夢を追いかける留学生たちのニーズが合致しつつあることは、日本全体にとって非常に希望のある現象だと私は考えます。
一方で、無視できない課題もあります。地方のスキーリゾートへ行っても「近くにコンビニがない」という生活利便性への不満も漏れ聞こえており、日本人と同じく「結局は都会が便利だ」という価値観との間で揺れ動く姿も見え隠れします。人口減少が続く日本において、地方が真の魅力と受け入れ態勢を整えられるか。その試金石は、まさに彼ら外国人留学生の動向が握っていると言えるでしょう。
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