台湾IT企業の業績動向と今後の展望!5G需要で魅せるTSMCの強さと新型肺炎がもたらすサプライチェーンへの懸念

世界のテクノロジー業界の未来を占う上で、決して無視できないのが台湾のIT企業群です。2019年通年における台湾の主要IT企業19社の売上高合計が発表され、前年比で0.7%増となる12兆3166億台湾ドル、日本円にして約44兆6500億円に達したことが分かりました。米中貿易摩擦という激しい逆風が吹き荒れる厳しいビジネス環境の中、過半数を超える11社が見事に増収を確保しています。この底堅い結果に対してSNS上では、「これだけの逆風の中でプラスを維持できる台湾勢は本当に強い」といった驚きと称賛の声が溢れていました。

今回の業績を力強く牽引したのは、半導体の受託生産において世界トップを走るTSMC(台湾積体電路製造)です。同社は2019年前半こそスマートフォン向けの需要低迷に苦しんだものの、後半には次世代通信規格「5G」の本格化に伴う需要を劇的に取り込み、約4%の増収を達成しました。5Gとは、超高速・大容量・低遅延を実現する新しい通信の仕組みのことであり、これからの社会を支える基盤となります。この最新技術への投資が実を結び、見事な巻き返しを演じた同社の技術力には、ネット上でも驚嘆のコメントが多数寄せられています。

さらに、アップルのiPhone組み立てなどで有名な鴻海精密工業をはじめとする、電子機器の受託製造サービス(EMS)大手4社もそろって増収を果たしました。EMSとは、ブランドを持つ企業に代わって製品の製造を専門に引き受けるビジネス形態を指します。スマートフォン市場そのものの伸び悩みは大きな重荷となったものの、世界的なデータ通信量の増加に伴うデータセンター用のサーバー需要が彼らを下支えしました。世界中のデジタルインフラを台湾企業が黒子として支えている構図が、あらためて浮き彫りになったと言えるでしょう。

筆者の視点として、今回の結果は台湾IT産業の構造転換の早さと、ニーズへの柔軟な適応力の高さを証明したものだと感じています。米中間のハイテク覇権争いに巻き込まれながらも、5Gやデータセンターといった次の成長トレンドへと素早く舵を切った経営判断は見事です。しかし、足元の2019年12月単月の売上高に目を向けると、前年同月比で4.5%減となっており、好調なTSMCとは対照的に鴻海などのEMS勢が苦戦を強いられています。このように企業間での明暗が分かれ始めている点には、注意深く目を向ける必要があります。

そして現在、最も大きな影を落としているのが、中国湖北省武漢市を中心に感染が拡大している新型コロナウイルスによる肺炎です。これにより、これまで台湾企業が中国国内に築き上げてきたサプライチェーン、つまり「部品調達から製造、流通に至るまでの一連の供給ネットワーク」が混乱に陥るリスクが現実味を帯びてきました。ネット上でも「工場が止まれば世界中のガジェット供給がストップするのでは」と懸念する声が急増しています。優れた技術力を持ちながらも、2020年の先行きは未曾有の不透明感に包まれているのが現状です。

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