2020年11月のアメリカ大統領選挙に向け、野党・民主党の候補者指名争いが一気に熱を帯びてきました。2020年2月7日、東部ニューハンプシャー州で開かれた討論会では、まさに火花散る論戦が展開されたのです。その中心にいたのが、初戦のアイオワ州党員集会で予想外の大躍進を遂げた前サウスベンド市長のピート・ブティジェッジ氏でした。38歳という若き新星の登場に、危機感を募らせたベテラン候補たちが一斉に厳しい追及の矛先を向けています。
SNS上でもこの討論会は大きな話題となり、「世代交代の波を感じる」「若いブティジェッジ氏がベテラン勢を相手に堂々と渡り合っている」といった驚きの声が相次ぎました。その一方で、彼の経験不足を懸念する書き込みも目立ち、ネット空間でも議論が白熱しています。今回の討論会は、まさに今後の選挙戦の方向性を占う重要な試金石となったに違いありません。実質的な政策論争はもちろん、候補者たちのサバイバルをかけた心理戦からも目が離せない状況です。
特に激しい攻勢を仕掛けたのが、初戦で4位と苦戦を強いられたジョー・バイデン前副大統領でした。バイデン氏は、ブティジェッジ氏の最大の弱点とされる「マイノリティー(黒人やヒスパニックなどの社会的少数派)」からの支持の薄さを痛烈に批判しています。政権奪還を果たすためには、民主党の伝統的な支持基盤である彼らの投票率向上が絶対条件だと主張しました。これに対し、ブティジェッジ氏はバイデン氏の身内の疑惑を巡る大統領の権力乱用を批判し、あえてライバルを庇うような老獪さを見せています。
私は、このバイデン氏の焦りこそが現在の民主党内の混迷を象徴していると考えます。安定感だけではトランプ政権に対抗できないという有権者の心理が、若きブティジェッジ氏への期待感に繋がっているのでしょう。しかし、人口の約9割を白人が占めるニューハンプシャー州を越えた先には、多様な人種が暮らす州が控えています。真の国政トップを目指すのであれば、ブティジェッジ氏が今後どのようにマイノリティー層の心を掴んでいくのかが大きな鍵になるはずです。
さらに、急進左派の代表格であるバーニー・サンダース上院議員との間でも、激しい応酬が繰り広げられました。サンダース氏は、ブティジェッジ氏が大富豪から多額の政治献金を受けていると皮肉を交えて牽制します。これに対して「候補者の中で富豪ではないのは私だけだ」と言い返したブティジェッジ氏の反論は見事でした。極端な政策は社会を分断するだけだと、サンダース氏の革新的な路線を真っ向から非難し、自身の「穏健派(中道寄りのはっきりとした現実路線)」としての立場をアピールしています。
世論調査によると、ニューハンプシャー州ではサンダース氏が支持率26%で首位を走り、ブティジェッジ氏が22.5%で猛追する展開です。2020年2月11日に控えた同州の予備選挙は、まさにこの2人の一騎打ちの様相を呈してきました。既存の政治体制への不満を代弁するサンダース氏か、新しい時代のリーダーシップを掲げるブティジェッジ氏か、有権者の選択が待たれます。誰が勝利を掴むにせよ、この熱い戦いはアメリカの未来を大きく変える契機となるでしょう。
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