おしゃれをして気分を上げたいときに欠かせない美容室ですが、実は今、業界が大きな転換期を迎えているのをご存知でしょうか。厚生労働省の調査によると、2019年3月時点で全国の美容室の数は25万1140施設に達し、前年より1.4%も増加しています。街を歩けば毎日のように新しいサロンを見かける一方で、競争はますます激化しているのが現状です。
店舗が増え続ける華やかな業界の裏側で、深刻な影も落とされています。帝国データバンクの報告によれば、2019年1月から2019年11月までの理美容業の倒産件数は167件を記録しました。この数字は4年連続の増加傾向を示しており、せっかく夢を持ってオープンしたお店が、わずか数年で看板を下ろさざるを得ない厳しい現実が浮き彫りになっています。
では、一体なぜこれほどまでに閉店へと追い込まれてしまうのでしょうか。サロン経営者が明かす大きな要因の一つが、店舗を開設する際に抱え込む莫大な借金です。物件の契約や内装工事、最新の機材を揃えるための返済負担が経営の重荷になります。さらに、少子高齢化に伴う人材不足や、同業者による熾烈な顧客の奪い合いが追い打ちをかけているのです。
美容師という職業における特有の「年齢の壁」も、状況を複雑にさせています。現場の声を紐解くと、スタイリストは40代を迎える頃に、プレイヤーとして最前線に立ち続けるか、自らがオーナーとなって独立するかの二者択一を迫られるケースが少なくありません。キャリアの選択肢が狭いことも、多くの美容師を悩ませる要因となっています。
帝国データバンク東京支社情報部の伊佐美波氏は、美容師の独立やフリーランスへの転身が相次ぎ、サロン側がスタッフを確保するのが極めて難しい状況だと指摘します。さらに、東京都心の一等地と地方におけるカット料金の格差に加え、贅沢を尽くす顧客と安さを求める顧客への「二極化」が顕著になっており、従来の店舗経営をさらに困難にさせているようです。
こうした厳しい環境の救世主として注目を集めているのが、新しい働き方である「シェア美容室」です。これは複数の美容師が1つの店舗やセット面を共同でレンタルし、それぞれがフリーランスとして営業する仕組みを指します。利用料が少し割高であっても、高額な初期費用をかけずに自分のお客様を施術できる点が、多くのスタイリストから支持されています。
この画期的なシステムは、SNS上でも「これならリスクなく自分のペースで働ける」「お気に入りの美容師さんが独立しても追いかけやすい」と、大きな反響を呼んでいます。従来の雇われ店長や、多額の負債を抱える無理な独立とは異なり、自分の実力次第で柔軟に稼げるインフラとして、これからの時代のスタンダードになっていくのではないでしょうか。
私個人の意見として、このシェア美容室の台頭は、技術を持つ職人が正当に評価される素晴らしい変化だと確信しています。これまでは経営の才能や資金力がなければ生き残れなかった世界ですが、これからは純粋な「技術と接客の魅力」でファンを魅了できる時代です。この新しい波が、美容業界全体をより健全で活気ある場所へ変えていくでしょう。
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