日本の防衛を揺るがす緊迫した状況がデータとして浮き彫りになりました。防衛省が2020年01月29日に発表した最新の統計によると、2019年04月から2019年12月までの期間において、航空自衛隊が日本領空に接近した中国機に対して行った緊急発進(スクランブル)の回数が、523回という驚くべき数字に達したことが判明したのです。これは過去2番目に高い水準であり、前年の同じ時期と比べても9.9%も増加しています。
緊急発進(スクランブル)とは、領空侵犯の恐れがある外国の航空機に対し、自衛隊の戦闘機が緊急出撃して警戒にあたる行動を指します。今回の発表に対してSNS上では、「自衛隊の皆様の連日の任務に心から感謝したい」「現場の負担は想像を絶するものがあるのではないか」といった、隊員を労う声や日本の安全保障環境を深く憂慮するコメントが数多く寄せられており、ネット上でも極めて高い関心を集めている状況です。
防衛省の分析によると、中国軍機の飛行ルートは東シナ海の上空が中心となっています。そのため、沖縄県の尖閣諸島周辺の上空を管轄している南西航空方面隊が、その大半の対応に追われる事態となりました。中国は西太平洋をはじめとする遠方の海域へ軍事力を展開させる狙いを持っているとみられ、その経由地にあたる日本周辺での活動が必然的に活発化している模様です。
実際に2019年10月から2019年12月にかけては、毎月末になると人民解放軍の情報収集機「Y―9」が対馬海峡の上空を通過し、東シナ海と日本海の間を往復飛行する特異な動きが観測されています。このような偵察活動は、今後は一時的なものではなく完全に常態化していく可能性が専門家からも指摘されており、一瞬たりとも油断できない空の警戒監視が続いていくことでしょう。
海の境界線でも強まる圧力と緊迫する尖閣諸島周辺の情勢
中国による威圧的な動きは空の上だけに留まりません。海上における摩擦も日を追うごとに激しさを増しています。尖閣諸島の周辺にある接続水域では、2020年01月01日から2020年01月27日まで、なんと27日連続で中国の公船が航行している様子が確認されました。接続水域とは、領海(沿岸から約22キロメートルの主権が及ぶ海)の外側に隣接する、密輸入や密出入国などを監視できる区域のことです。
さらに深刻なことに、この連続航行の期間中には、日本の主権がおよぶ領海内への不法な侵入も2回発生しています。遡れば2019年における同水域での中国公船の航行は、延べ1000隻を超えるという過去最多の記録を更新しました。安倍晋三首相は2019年末に中国を訪問した際、習近平国家主席との首脳会談の席でこの危機的な状況について直接改善を求めましたが、現時点で目立った変化は見られません。
中国の国家主席が「国賓」という最上級の待遇で日本に迎えられるのは、2008年の胡錦濤氏以来、実に12年ぶりの歴史的な節目となる予定です。しかし、かつて2008年度の中国機に対する緊急発進は年間31回にまで減少していたのに対し、2010年度の海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件を契機に、状況は一変して激増へと転じました。この歴史的な経緯を見ても、現在の摩擦の根深さが分かります。
自民党の内部からは、「国賓としての来日を前にして、中国側が一時的にポーズとして状況を改善させたとしても、それは表面的なものに過ぎないだろう」との冷ややかな見方が大勢を占めています。習近平氏は経済や外交面で日中関係の修復へと舵を切る姿勢を見せる一方で、領土や安全保障といった国家の核心的利益に関わる問題では、一切の妥協を許さない強硬な方針を貫いているからです。
広がる政治外交の温度差と国賓待遇への根強い反発の声
中国は軍備の拡大の手を緩めておらず、日本周辺に展開する航空機や艦艇の数は右肩上がりに増え続けています。それにもかかわらず、中国国防省の幹部が日本側の懸念に対して「いちいち大騒ぎをせずに、この状況に慣れればいいのだ」と放言したことは、火に油を注ぐ結果となりました。こうした横暴とも言える態度に対し、日本国内の政治の場では与野党を問わず国賓としての招待に対する反発が急速に広がっています。
自民党の保守系グループは2020年01月21日、尖閣周辺での相次ぐ主権侵害を厳しく批判し、「現状のまま国賓として迎えることには断固反対する」との申し入れ書を首相官邸へと提出しました。また、2019年12月に開かれた党の最高意思決定機関の一つである総務会でも、慎重論や反対論が続出しています。さらに野党である国民民主党の玉木雄一郎代表も、異議を唱えました。
玉木代表は2020年01月22日の衆議院本会議において、「このような国際法を軽視するような状況で国賓待遇を認めれば、世界に対して日本が中国の覇権主義を容認したという、誤ったメッセージを届けることになりかねない」と強く訴弁しています。覇権主義とは、武力や国力を背景に他国を支配しようとする強権的な思想のことですが、現在の中国の振る舞いはまさにそのように映っているのです。
これに対して安倍首相は、国賓として迎える方針を現時点では変更していません。「日中間の懸念事項があるからこそ、首脳間で主張すべきことは毅然と主張し、毅然とした対応を求めていく」と国会で答弁しました。しかし、国内外でこれだけ反対の世論が渦巻いている以上、仮に2020年04月に来日が実現したとしても、かつてのような純粋な歓迎ムードで包まれることは極めて難しいと言わざるを得ません。
編集部のアナリストの眼:安全保障の現実を直視した外交戦略を
インターネットメディアの編集部としてこの問題を考察すると、目先の外交協調の演出よりも、主権と安全保障という国家の根幹を最優先に据えた現実的な外交姿勢こそが今まさに求められていると考えます。経済的な結びつきが強い隣国であるとはいえ、連日のように領空や領海が脅かされている中で、最高礼遇である国賓として招待することは、自衛隊の懸命な防衛努力や国民の危機意識を蔑ろにしかねません。
さらに追い打ちをかけるように、中国湖北省武漢市を中心に発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大という、世界的な人道・衛生上の大問題が影を落としています。もし春に向けて事態が終息に向かわなければ、国境を越えた往来自体が制限され、来日延期論が現実味を帯びてくるのは確実でしょう。日本政府は、東シナ海での中国の軍事行動と、この防疫対応の双方を冷徹に見極める必要があります。
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