試験装置のトップメーカーであるエスペックが、驚きの新展開を見せました。2020年4月から、医薬品試験機で国内大手として知られるナガノサイエンス(大阪府豊中市)と業務提携を結び、中国でのビジネスを本格化させます。両社がターゲットに据えるのは、医薬品の品質劣化を厳格に評価する「安定性試験機」の製造と販売です。
安定性試験機とは、装置の内部に高温や低温、さらには高湿度といった極端に過酷な環境を人工的に作り出す装置のことです。これにより、薬が流通する過程で品質に問題が生じないかをチェックできます。人の命に関わる医薬品だからこそ、この品質管理(バリデーション)のプロセスは世界中で極めて重視されているのです。
現在、中国では医薬品に対する品質管理の規制が急速に強化されています。これに伴い、安全性を担保する試験装置への需要が爆発的に高まってきました。エスペックはこれまで現地で電子部品向けの試験機を主力としていましたが、この巨大な医療ニーズの波を捉えることで、107億円規模である中国での売上高をさらに引き上げる構えです。
今回の発表に対してSNS上では、「国内のライバル同士が海外で手を組むなんて胸熱な展開だ」「日本の精密な技術力が中国の医療現場を支えるのは素晴らしい」といった興奮気味の声が相次いでいます。規制強化という現地のピンチをチャンスに変える、ドメスティックな競合同士の共闘は、多くの関心を集めているようです。
今回の生産を担うのは、エスペックの現地製造子会社である「エスペック広東(広東省)」です。ここで作られた高品質な装置を、ナガノサイエンスが持つ独自のネットワークを活かして中国や東南アジアの製薬会社へ広く販売していきます。今後の需要拡大に応じて、生産ラインの増設も視野に入れているとのことです。
日本国内において、エスペックとナガノサイエンスはシェアを争う強力なライバル関係にあります。しかし、中国に自前の生産拠点を持たないナガノサイエンスと、医薬分野への販路をさらに広げたいエスペックの利害が一致しました。まさに、お互いの強みを最大限に活かしたスマートな戦略と言えるでしょう。
編集部の視点として、今回の提携は日本のものづくり企業がグローバル市場で生き残るための素晴らしい模範解答だと感じます。限られたパイを国内で奪い合うのではなく、得意分野を持ち寄って未開拓の巨大市場へ挑む姿勢は、これからの製造業におけるスタンダードになるべきです。両社の化学反応に期待が膨らみます。
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