新潟県新発田市が誇る屈指の名湯、月岡温泉。その中でもトップクラスの人気を誇る老舗旅館「ホテル泉慶」が、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、非常に大胆な一歩を踏み出しました。同館は、姉妹館である「華鳳」や「別邸 越の里」を含むグループ全体の公式ウェブサイト上で、中国湖北省武漢市への滞在歴があるお客様の宿泊を当面の間、遠慮してもらうという方針を明らかにしています。この異例とも言える徹底した水際対策は、2020年2月1日からインターネット上で順次掲載が開始されました。
さらにホテル側は、中国や東南アジアをはじめとした周辺諸国からの宿泊予約者に対し、個別にメールを送信する対応を行っています。具体的には、現在の居住地や過去2週間以内の海外渡航歴、さらには日本国内で中国からの渡航者と接触したかどうかも確認しているそうです。ここで感染のリスクがあると判断された場合は、宿泊を断るという厳しい措置を講じています。ここで言う「水際対策」とは、感染症などの病原体が組織や地域に侵入するのを、境界線の段階で食い止めるための防御策を指す専門用語です。
ホテル泉慶は、旅行業界のランキングでも常に上位へ名を連ねる、温泉地を代表する高級旅館です。実は、こちらの外国人宿泊客の約6割から7割は台湾や香港からの観光客であり、中国本土からの宿泊客はもともと存在しないといいます。それにもかかわらず、今回の決断に至った背景には、宿泊を検討している他のお客様から「新型肺炎の発症地域から来た人が泊まっているのではないか」という不安の声が寄せられたためだそうです。宿側は「お客様に心から安心してもらうための慎重な対応であり、やむを得ない措置」と説明しています。
新潟県内の他の温泉地では、中国からの団体旅行が相次いでキャンセルになる事態が起きていますが、個人の宿泊客に対してここまで明確に受け入れを拒む事例は非常に珍しいケースです。湯沢町の観光協会も、町内で同様の厳しい措置を講じている宿泊施設は現時点で耳にしていないと語っており、今回の泉慶の対応がいかに異例であるかが伺えます。このニュースが報じられると、SNS上では瞬く間に大きな反響を呼び、瞬く間にトレンドワードに関連する議論が巻き起こることとなりました。
ネット上の反応を見てみると、「宿泊客や従業員の安全を第一に考えた素晴らしい決断だ」「ここまで徹底してくれれば安心して泊まりに行ける」といった、企業の毅然とした姿勢を称賛する声が数多く上がっています。一方で、「特定の地域を理由に一律で拒否するのは、差別的な扱いに繋がる恐れがあるのではないか」と、一歩踏み込んだ倫理的な懸念を抱くユーザーも一部で見受けられました。安全の確保と公平なサービスの提供という、非常に難しい天秤の上で、多くの人が関心を寄せている状況です。
編集部としては、今回のホテル泉慶の決断は、観光業の信頼を守るための極めて勇敢な防衛策であると支持したいと考えます。目先の利益よりも顧客の安全を最優先にする姿勢は、ブランドの信頼度を長期的には高めるはずです。もちろん、いわれのない偏見を生まないような配慮は不可欠ですが、見えないウイルスという脅威に対し、民間企業が自助努力として明確な基準を示すことは、今求められる危機管理の形と言えるでしょう。一刻も早く誰もが安心して温泉を楽しめる日々が戻ることを願うばかりです。
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