江戸時代の大名もサラリーマンと同じ?新刊『お殿様の人事異動』が描くリアルな出世競争と引っ越しの裏舞台

現代を生きるビジネスパーソンにとって、人事異動や突然の転勤辞令は常に頭を悩ませる一大関心事でしょう。しかし、そうした苦労は決して私たち現代人だけのものではありません。実は、きらびやかに見える江戸時代のお殿様たちも、幕府からの突然の命令に右往左往していたようです。そんな歴史の意外な一面を鋭い視点で切り取った、待望の新刊がまもなく店頭に並びます。

日本経済新聞出版社から2020年2月12日に発売されるのが、安藤優一郎氏の著書『お殿様の人着異動』です。本書は日経プレミアシリーズの一冊として刊行され、240ページという手頃なボリュームでありながら、当時の権力闘争の本質に迫る充実の内容に仕上がっています。定価は本体850円に消費税を加えた価格となっており、気軽に手に取りやすいのも魅力的なポイントと言えます。

本書が焦点を当てるのは、江戸時代に頻繁に行われていた「お国替え」という制度です。これは現代で言うところの「強制的な転勤命令」や「大規模な組織変更」に該当します。領地を丸ごと引っ越さなければならない大名たちの悲喜こもごもや、幕府の中枢である「幕閣」のポストを巡る激しい出世競争が、生々しく描き出されていくのが本作の大きな見どころです。

幕閣とは、老中や若年寄といった幕府の最高首脳陣、つまり現代で言う「取締役会」や「執行役員」のような要職を指す言葉です。この限られた椅子を奪い合うため、当時は現代顔負けの激しい嫉妬や、ライバルの足を引っ張り合う泥沼の社内政治が繰り広げられていました。誰もが知る歴史の表舞台の裏側には、人間のドロドロとした欲望が渦巻いていたのです。

作品の中には、寛政の改革を主導した松平定信や、「鬼平」の愛称で親しまれる長谷川平蔵といった歴史上の有名人も続々と登場します。彼らがどのような人事の荒波に揉まれ、いかにして権力闘争を生き抜いたのかが克明に綴られており、歴史ファンならずとも胸が躍るノンフィクション作品と言えるでしょう。当時のリアルな息遣いが伝わってきます。

インターネット上やSNSでも、このユニークな切り口に対して早くも大きな反響が巻き起こっています。「お殿様も中間管理職のような苦労をしていたと思うと親近感が湧く」「転勤の引っ越し費用に悩む大名の姿を早く読んでみたい」といった、期待に満ちた声が多数寄せられており、発売前からビジネス層を中心に高い注目を集めている状況です。

私はこの記事を編集しながら、時代が変わっても組織で生きる人間の本質は変わらないのだと痛感させられました。現代のサラリーマンが上司の顔色を伺い、派閥争いに一喜一憂するように、江戸時代のエリートたちもまた、生き残りをかけて必死に戦っていたのです。本書は単なる歴史書ではなく、現代を生き抜くための最高の副読本になるでしょう。

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