2019年に日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビーワールドカップですが、その興奮はスタジアムの枠を飛び越え、私たちの食卓や買い物事情にも大きな変化をもたらしました。日本経済新聞社が発表した「日経POSセレクション」のデータによると、加工食品や飲料など約2000ものカテゴリの中から、栄えある瓶入りプレミアムビール部門の売上第1位に輝いたのは、大会の公式スポンサーを務めた「ハイネケン」です。まさに、ラグビーの熱気がそのまま購買行動へと直結した形と言えるでしょう。
ここで登場する「POSデータ」とは、スーパーやコンビニのレジで商品が販売された時点の情報を管理・集計したシステムのことです。これを見れば、今まさに何がリアルタイムで売れているのかが手に取るように分かります。このデータが示す通り、大会期間中のビール消費量は凄まじい勢いで膨れ上がりました。競技場や居酒屋といった飲食店での消費はもちろんのこと、一般のスーパーでもハイネケンの売れ行きは急上昇を記録しています。
実際にデータを確認すると、2019年10月における来店客1000人あたりの販売金額は、なんと通常の4倍にまで跳ね上がりました。東京都内の大手スーパーでは、一時的に店頭から在庫が消えてしまうほどの争奪戦が繰り広げられたそうです。SNS上でも当時、「どこのお店に行ってもハイネケンが売り切れている!」「ラグビーを観ながらお家で飲むために必死で探した」といった驚きや歓喜の声が相次ぎ、お祭り騒ぎのような盛り上がりを見せていました。
この熱狂は一過性のブームに留まらず、2019年の大会終了後もハイネケンは同部門で首位をがっちりとキープしています。さらに2020年2月12日現在、ラグビーの国内新リーグが開幕したことで、その人気が再び燃え上がっている状況です。スポーツの感動を自宅でもう一度味わいたいというファンの心理が、この異例のロングセラーを支えているのだと感じます。単なる飲料の枠を超え、体験や記憶と結びついたブランドは本当に強いですね。
また、今回の調査では健康志向やトレンドを反映した興味深いヒット商品も明らかになりました。昨今の筋肉ブームを追い風に、手軽にプロテインを摂取できる明治の「ザバス MILK PROTEIN脂肪0」シリーズが、紙パック入りココア・チョコレート飲料部門などでトップを獲得しています。タンパク質は筋肉だけでなく健康維持に欠かせない栄養素であり、これが手軽に美味しく飲める点が、現代人のニーズに完璧にマッチした結果だと言えます。
さらに、世間を席巻したタピオカブームの影響も色濃く出ています。チルドカップ入り紅茶飲料部門では、安曇野食品工房の「TAPIOCA TIME タピオカミルクティー」が首位に立ちました。専門店に並ばなくても、身近な店舗で手軽にモチモチした食感を楽しめる利便性が評価されたのでしょう。このようにPOSデータは、私たちのライフスタイルや社会のトレンドを映し出す鏡の役割を果たしており、今後の市場の動きからも目が離せません。
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