2019年5月31日、中国国家統計局が発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)が、経済の節目とされる50を3ヶ月ぶりに下回り、市場に衝撃を与えました。5月のPMIは49.4となり、前月の数値から0.7ポイントの低下を記録しています。このPMIという指標は、製造業約3,000社へのアンケート調査を基に算出され、50を上回ると景気が「良い」つまり生産や新規受注が拡大傾向にあることを示し、50を下回ると景気が「悪い」つまり縮小傾向にあると判断される景況感を測る重要なバロメーターなのです。
この数値の悪化は、トランプ米政権による対中制裁関税の引き上げが、中国経済の心臓部である製造業に明確な打撃を与え始めたことを示唆しているでしょう。特に2019年5月10日、米国が中国からの約2,000億ドル(日本円で約22兆円)分の輸入品に対する関税率を、これまでの10%から一気に25%へと大幅に引き上げた影響が、如実に現れていると見て間違いないでしょう。
具体的な項目を見ると、新規受注の指数は49.8と、前月比で1.6ポイントも悪化し、景気の縮小ラインを下回りました。さらに深刻なのは、輸出に限定した新規受注の指数で、これは46.5という低水準にまで落ち込んでいます。特筆すべきは、輸出向け受注がこれで2018年6月から12ヶ月連続で50を下回り続けているという事実で、米中間の貿易摩擦が長期化する中で、中国の輸出産業がいかに厳しい局面に立たされているかが分かります。
一方で、生産の指数は51.7と依然として50を上回る拡大を示しているものの、前月からは0.4ポイント低下しています。これは、企業の在庫調整や今後の不透明感から、生産ペースが鈍化し始めているサインかもしれません。インターネット上でも、「米国の関税が効き始めた」「世界経済への影響が心配だ」といった懸念の声が多く見受けられ、このPMIの発表はSNSでも大きな反響を呼んでいるのです。
私自身の見解としては、この2019年5月のPMIの結果は、米中貿易摩擦が「単なる口論」ではなく、現実に**世界のサプライチェーンと景況感を冷え込ませる「実弾」**となりつつあることを証明していると考えます。中国政府は景気対策を講じているでしょうが、米国の関税という外部からの強力な圧力には、内需のテコ入れだけでは限界があるでしょう。このままでは、世界経済全体の減速につながるリスクも高まると言えます。今後の米中間の通商協議の行方と、それに伴う中国経済のさらなる動向から、片時も目を離すことはできないでしょう。
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