2019年6月3日、海溝型巨大地震の発生メカニズムに一石を投じる衝撃的な研究結果が、大阪大学の広野哲朗准教授らの研究チームから発表されました。この研究は、日本列島周辺で特に警戒されている南海トラフ地震などの巨大地震の解明に大きく前進するもので、国内外の専門家から大きな注目を集めています。
研究チームが突き止めたのは、プレートが地球内部へ沈み込む、いわゆる「沈み込み帯」と呼ばれる場所で、もともと存在している有機物が、地震の引き金となる滑りやすさを増している可能性です。これまでにも、この沈み込み帯に有機物があることは確認されていましたが、海溝型地震の発生とどのような関わりがあるのかは長らく謎に包まれていました。
この成果が発表されると、SNS上では「地震のメカニズムがまた一つ解明に近づいた!」「将来の巨大地震予測につながるのでは」といった期待の声が多数上がり、専門用語の解説を求めるユーザーも多く見受けられました。海溝型地震とは、大陸プレートの下に海洋プレートが潜り込む境界で起こる地震で、大規模な津波を伴うことが多く、巨大地震の多くがこれに該当するのです。
広野准教授らは、有機物を豊富に含む断層を模擬した環境を実験室内に再現し、詳細な実験を行いました。その結果、地下深くで温度と圧力が上昇していくと、有機物が化学的に変化する石炭化(せきたんか)と呼ばれるプロセスが進行していくことが明らかになりました。この石炭化が進むと、有機物は最終的に非常に軟らかく、滑りやすい性質を持つグラファイト(黒鉛)へと変質したのです。身近なところでは、鉛筆の芯の素材として知られるグラファイトですが、これが摩擦係数を著しく低下させ、プレートの滑りを助長しているというメカニズムが示されました。
この摩擦係数の低下は、プレートの固着が解けやすくなることを意味します。広野准教授は「プレートが沈み込む海溝型地震の震源域の深部では、巨大地震の前兆ともされるスロー地震(ゆっくりすべり)が発生していますが、摩擦係数の低下はスロー地震の発生とも何らかの関連性があると考えています」と述べています。スロー地震とは、通常の地震のように短時間でエネルギーを放出するのではなく、数日~数年かけてゆっくりと断層が滑る現象で、巨大地震の準備段階として注目されているのです。
私見を述べさせていただきますと、この研究の意義は計り知れないものです。プレート境界の物質的な特性、特に有機物の変化という視点から、巨大地震の発生条件に迫るというのは非常に独創的で、これまでのプレートテクトニクスに基づくモデルに、物質科学という新たなレイヤーを追加するものだと思います。グラファイトという身近な物質が、地下深部でこのような重要な役割を果たしているという事実は、自然の力の奥深さを改めて感じさせます。
研究チームは今後、さらに実験を進めることで、南海トラフ地震をはじめとする具体的な海溝型巨大地震の発生メカニズムを、より精緻に解明することを目指しています。この成果が、将来の地震予測技術や防災対策の進化に結びつくことを強く期待するものでしょう。
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