食卓を彩る豚肉の輸入事情に、大きな変化が起きています。2019年6月3日の報道によりますと、2018年度の欧州連合(EU)からの豚肉輸入量において、スペイン産が初めてデンマーク産を抜き、堂々の首位を獲得したことが財務省の貿易統計から明らかになりました。これまで長らくトップの座を維持してきたデンマーク産を凌駕したその背景には、いったいどのような要因があるのでしょうか。
具体的な数字を見てみましょう。2018年度のスペイン産豚肉の輸入量は10万9,442トンで、前年度比でわずかな減少にとどまりました。これに対して、それまで首位だったデンマーク産は10万3,920トンと、前年度比で大幅な7.4%減を記録したため、トップの座が入れ替わる形となりました。輸入量が全体的に減少傾向にあった理由としては、「日欧経済連携協定(日欧EPA)」の影響が指摘されています。これは、2019年2月に発効した協定で、2019年4月から豚肉の関税率がさらに引き下げられる見込みであったため、3月の輸入を一時的に見送る動きが食品メーカーの間で広まったためだと考えられるのです。
輸入量の減少を差し引いても、スペイン産がこれほどの存在感を示した最大の要因は、やはりその高いブランド力と価格競争力にあると言えるでしょう。輸入業者の声を聞くと、「スペインと言えばイベリコ豚」という強いイメージが確立されており、その美味しさが消費者の間で広く知れ渡ってきたことが、スペイン産豚肉全体の需要を押し上げているようです。イベリコ豚とは、スペイン固有の品種で、どんぐりなどを食べて育つ特定の豚を指し、その肉質はナッツのような風味と、とろけるような脂身が特徴の高級ブランド豚です。この認知度の高まりが、イベリコ豚以外の一般のスペイン産豚肉に対する関心をも高めていると見られています。
🇪🇺 EU豚肉輸入の構造変化とスペイン産の強み
また、別の輸入業者が指摘するのは、生産コストの優位性です。スペインはデンマークなどのEU諸国と比較して人件費が比較的安く抑えられる傾向にあります。このコスト構造が、スペイン産豚肉の価格競争力を非常に高いものにしており、スーパーマーケットや外食産業といった多様な分野で、イベリコ豚以外の品種に対する強い需要を生み出しているというわけです。2018年度において、EUからの豚肉輸入量全体に占めるスペイン産のシェアは、前年度の32.9%から1.8ポイント増の34.7%に拡大しており、その勢いは明白です。EU全体が日本の豚肉輸入量に占めるシェアは約34%ですから、スペイン産がその約3分の1を占める計算になります。
このデータから、編集者として私はスペイン産豚肉の躍進は一過性のものではなく、必然的な流れであると強く感じています。イベリコ豚というキラーコンテンツで消費者の心を掴みつつ、コスト面でも他国を凌駕する優位性を持つスペインは、今後も日本の食卓において重要な役割を果たし続けるでしょう。このニュースは、SNSでも「イベリコ豚って美味しいもんね、納得」「価格も大事だけど、やっぱり品質が決め手」といった好意的なコメントが多く見られ、消費者の関心度の高さを物語っています。品質と価格、そして強力なブランドイメージを兼ね備えたスペイン産豚肉は、これからも日本の市場で存在感を増していくに違いありません。
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