2019年6月7日時点で、ブラジルを主要な生産地とする砂糖とコーヒー豆の国際価格が著しく上昇し、市場で注目を集めています。長らく安値圏で推移していたこれらの農産物の相場に、いよいよ底入れ感が強まってきたのです。特に、粗糖(精製糖の原料)は5月中旬の底値と比較して6%高く、コーヒーに至っては5月上旬から14%も価格が急騰している状況です。この劇的な価格変動の背景には、収穫期を迎えたブラジルの天候不順と、現地通貨であるレアルの対ドルでの上昇という二つの大きな要因が存在します。
この価格上昇の最大の原因は、ブラジル産地を襲った悪天候です。南半球に位置するブラジルではこれから冬場を控え、本格的な収穫作業が始まるところですが、降雨や低温といった天候不順に見舞われています。製糖大手からは「雨で収穫が滞り、圧搾作業が中断している」という深刻な声が聞かれ、収穫量の減少に対する懸念が強まっています。また、コーヒーの実が雨に濡れると、土のにおいが付着して品質が低下する恐れもあると専門商社は指摘しており、さらに気温低下による降霜被害(霜が降りることによる農作物への被害)の不安も加わり、供給不安が市場に浮上しているのです。農産物にとって天候はまさに命綱であり、この悪影響は避けられない問題と言えるでしょう。
価格を押し上げているもう一つの重要な要素は、ブラジル現地通貨レアルの対ドル相場における上昇です。粗糖やコーヒーは、国際的にはドル建てで取引されることが一般的です。そのため、ドル安・レアル高が進むと、ブラジルの輸出業者や生産者が受け取るレアル建ての収入が実質的に減少してしまいます。これによって輸出の意欲が鈍り、結果的に市場への供給が減るとの見方が広がるのです。このレアル高の背景には、アメリカの金利低下や、ブラジルの年金改革法案成立への期待感などがあり、投機筋による「需給が引き締まる」との連想買いを誘発したと考えられます。
具体的に相場の動きを見てみると、ブラジルが世界生産量の約2割を占める粗糖のニューヨーク先物価格(期近)は、1ポンドあたり12セント台と約1カ月ぶりの高値圏にあります。さらに、世界生産量の4割弱を占めるコーヒー(指標となるアラビカ種)のニューヨーク先物(期近)は、4日には一時1ポンド105セント台と約4カ月ぶりの高値をつけました。現在は投機筋の利益確定売りが出て100セント近辺に落ち着いたものの、5月上旬の90セント前後という水準からは大きく切り上がった状態です。2018年秋から需給緩和観測が続き、相場下落が続いていたことを考えると、この急騰は大きな相場反転の兆しと捉えられます。
世界的な需要の堅調さも価格をサポート
供給面の不安に加え、世界的な需要の堅調さも価格を支える要因となっています。コーヒーの消費量は、世界的に見て年率2~3%のペースで増加しており、このまま進むと先行きで需給が逼迫するとの見方が台頭しています。一方、砂糖は先進国での消費は鈍化傾向にあるものの、新興国での需要が非常に旺盛であるため、世界全体では年率1%前後の成長が続くと予測されています。このような着実な需要の伸びは、相場が大きく崩れることを防ぐ強力な下支えとなるでしょう。
現時点では、国際相場が前年比では依然として安値圏にあるため、国内の関連業界で製品価格を引き上げる動きはほとんど見られません。しかし、製糖大手からは「人手不足などで物流費が高騰しており、今後相場が大きく上昇すれば製品価格への転嫁を検討せざるを得ないだろう」という声も聞かれており、今後の価格動向によっては、私たち消費者が口にするコーヒーや砂糖の価格にも影響が及ぶ可能性が出てきています。編集者としては、コーヒーや砂糖がただの嗜好品ではなく、グローバルなサプライチェーン(供給網)と密接に結びついている重要な国際商品であることを改めて認識し、この相場変動の波を注視していく必要があると考えます。
この報道に対するSNSでの反響は大きく、「コーヒー豆の価格が上がるのは仕方ない」「ブラジル産の品質低下は避けたい」といった、消費者の懸念の声が多く見受けられました。また、「レアル高が影響しているのなら、為替市場の動向もチェックしなければならない」という、より専門的な視点からの意見もあり、今回の価格上昇が単なる天候不順だけでなく、マクロ経済の要因(国全体の経済活動や金融政策などに関わる要因)が複雑に絡み合っていることに、読者の皆さんも関心を寄せている様子が伺えます。私たちは、このブラジル発の相場反転劇が、今後の世界経済と私たちの生活にどのような影響を与えるのかを、引き続き詳細に追っていくべきでしょう。

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