福井県に拠点を置く繊維メーカーのセーレンが、先端技術の粋を集めた「液晶ポリエステル繊維」の生産体制を大幅に強化することを決定いたしました。2019年08月06日の発表によりますと、同社は今後2年を目処に、生産能力を現状から約5割も引き上げるという意欲的な計画を進めています。私たちの生活に欠かせないスマートフォンや高速インターネットを支える素材として、この画期的な繊維への期待が急速に高まっているのです。
今回の増産投資は、子会社であるKBセーレンの北陸合繊工場(福井県鯖江市)を中心に行われます。数億円という多額の資金を投じて、紡糸した繊維の品質を安定させる熱処理機などの最新設備を導入する予定です。これにより、2019年度中には年間150トンの出荷体制を確立し、さらに2年後には年間200トンから250トン規模まで一気に拡大させる構えです。地域経済の活性化という観点からも、この設備投資は非常に明るいニュースといえるでしょう。
驚異の強度と細さを両立した次世代素材「ゼクシオン」の正体
注目を集めているのは「ゼクシオン」と呼ばれる高機能繊維です。これは液晶ポリエステルに熱を加えながら限界まで引き伸ばし、分子レベルで結晶の方向を美しく整えることで、鋼鉄にも匹敵する強さを実現した魔法のような素材となります。専門的な「液晶ポリエステル繊維」とは、熱をかけると液体のような流動性を持ちながら、分子が一定の方向に並ぶ性質を持つ特殊な樹脂を指します。この性質が、驚異的な耐久性を生み出す鍵となっているのです。
ゼクシオンの凄みは、なんといってもその「極細」ぶりにあります。その直径はわずか40マイクロメートルほどで、これは髪の毛の約半分という信じられない細さです。1マイクロメートルとは100万分の1メートルを表す単位ですが、現在市場に出回っている一般的な製品と比較しても約100分の1という圧倒的な細さでの量産を可能にしました。SNS上では「そんなに細くて本当に切れないのか」と驚きの声が上がっていますが、強度は通常のポリエステルの5倍以上を誇ります。
この特性を活かし、スマートフォン用イヤホンの断線を防ぐ補強材や、光回線ケーブルの保護材としての需要が爆発的に伸びています。さらに同社は、スポーツ用品や過酷な環境下で使われる産業用資材など、新たな市場の開拓にも意欲を燃やしています。現在は年商10億円規模の事業ですが、近い将来には数十億円規模へと急成長させる高い目標を掲げており、日本の「ものづくり」の底力を世界に見せつける素晴らしい挑戦だと私は確信しています。
コメント