フランスのトゥールーズで2019年11月29日に開催されたスポーツクライミングの東京五輪予選は、日本の若き才能たちが世界を驚かせる結果となりました。女子複合予選において、弱冠16歳の森秋彩選手が並み居る強豪を抑えて堂々の1位通過を果たしたのです。彼女の登攀は、まさに次世代のリーダーとしての風格を感じさせるものでした。
一方で、実力派として注目を集める17歳の伊藤ふたば選手も、安定感のあるパフォーマンスで5位に食い込んでいます。この結果、日本人選手2名が12月1日に行われる運命の決勝へと駒を進めることになりました。SNS上では「日本の10代コンビが凄すぎる」「異次元の強さだ」といった称賛の声が相次ぎ、ファンの期待感は最高潮に達しています。
今大会のフォーマットである「複合(コンバインド)」とは、スピード、ボルダリング、リードの3種目を1人の選手がこなし、その順位を掛け合わせたポイントの低さを競う過酷な競技です。森選手は垂直の壁を駆け登るスピード種目こそ出遅れたものの、その後の驚異的な追い上げには目を見張るものがありました。
パズルのような課題を解く力が試されるボルダリングで2位につけると、得意のリード種目では圧倒的な持久力を見せつけ、見事に1位を獲得したのです。リードとは、12メートル以上の高い壁を制限時間内にどこまで登れるかを競う、まさにクライミングの華とも言える種目でしょう。彼女の柔軟な発想と粘り強さは、世界一の座も射程圏内であることを証明しました。
その一方で、両親が日本人で「天才少女」として知られるアメリカ代表の白石阿島選手は、本来の実力を発揮できず22位で予選敗退という波乱も起きています。トップアスリートであっても一瞬のミスが命取りになるという、勝負の世界の厳しさが浮き彫りになった格好です。彼女の敗退は、多くのクライミングファンに衝撃を与えました。
五輪代表選考を巡る国際連盟と日本協会の「見解の相違」とは
歓喜のニュースが届く一方で、ファンの間では複雑な感情も渦巻いています。実は、国際スポーツクライミング連盟(IFSC)と日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)の間で、東京五輪の代表選考基準を巡る大きな混乱が生じているのです。2019年8月の世界選手権において、日本はすでに男女各2名の代表枠が確定したと国際連盟は主張しています。
しかし、日本協会側は独自の選考基準を設けており、今回の予選結果も代表選考に影響を与える可能性があるとして譲りません。この「ルールの解釈違い」は、選手たちが競技だけに集中すべき舞台において、非常に残念なノイズとなってしまっています。透明性の高い選考プロセスの確立は、スポーツ界全体の急務であると私は強く感じます。
個人的な意見を述べさせていただけるなら、どのような政治的な混乱があろうとも、壁の前で己の限界に挑む選手たちの輝きは決して色あせるものではありません。森選手や伊藤選手が見せている情熱は、制度の不備を超えて観る者の心を震わせます。2019年12月1日の決勝では、彼女たちがその力を存分に発揮し、笑顔で大会を終えることを願ってやみません。
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