2019年11月18日、東日本大震災の試練を乗り越えた東北の生産者たちが、世界の美食家が集うフランス・パリとタイ・バンコクの2都市で、情熱あふれる試食商談会をスタートさせました。単なる農産物の紹介に留まらず、現地の歴史や豊かな風土を「東北の食」というひとつの物語として紡ぎ出すことで、海外でのブランド力を一気に高めようとする野心的な試みが注目を集めています。
パリでは2019年11月18日から2019年11月20日まで、バンコクでは2019年11月21日から2019年11月24日までの期間、地元のシェフやバイヤーを招いた商談が繰り広げられます。SNSでは「日本の美味しいものが世界に届くのは嬉しい」「東北の底力を見せてほしい」といった期待の声が続々と上がっており、復興を応援する温かいエネルギーがデジタル空間でも広がっているようです。
厳選された「東北の至宝」が美食の都とアジアの拠点へ
パリの会場には、福島県福島市のカトウファームが育てる極上の米や、同じく福島市の「ももがある」による桃の加工食品、さらには会津若松市のファーム大友が生み出す濃厚なトマト、そして仙台市のワイナリーが手掛ける芳醇なワインが並びます。どれも生産者のこだわりが凝縮されており、素材の背景にある「ストーリー」を重視する欧州の市場でどのような評価を受けるのか、非常に興味深い挑戦と言えるでしょう。
一方、バンコクでは宮城県塩釜市のシーフーズあかまが提供する海の恵み「アカモク」や、岩手県大船渡市の三陸とれたて市場による新鮮な魚介類、さらに福島の果樹園が誇る瑞々しい果実が紹介される予定です。アカモクとは、ミネラルや食物繊維が豊富で健康志向の方に人気の海藻であり、こうした機能性食材が健康ブームに沸くアジア圏で新たなトレンドを作る可能性は十分にあります。
今回、パリとバンコクが選ばれた背景には、震災後の輸入規制が比較的緩やかであることや、両国が非常に強い親日感情を持っているという戦略的な理由が存在します。私自身、こうした「味」だけでなく「信頼関係」を基盤にした市場開拓は、長期的な輸出拡大において極めて賢明な判断だと確信しています。
官民連携の「東北グローバルチャレンジ」が切り拓く未来
このプロジェクトを支えるのは、JPモルガンによる資金援助を受け、NPO法人エティックと一般社団法人「東の食の会」が事務局を務める「東北グローバルチャレンジ」という強固なプラットフォームです。2020年春までに約30の事業者を募る計画が進んでおり、個々の農家や企業では難しい海外展開を、プロフェッショナルの知見を結集してバックアップする体制が整っています。
震災から時を経て、被災地は「支援される対象」から、世界に価値を届ける「供給の主役」へと進化を遂げつつあります。東北の食文化が持つポテンシャルは計り知れず、歴史や風土といった情緒的な価値を付け加えるプロモーション手法は、今後の日本産品のブランディングにおける重要なモデルケースとなるはずです。世界の人々が東北の味に驚き、笑顔になる未来がすぐそこまで来ています。
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