徳島県民にとって衝撃的なニュースが飛び込んできました。徳島市にある「そごう徳島店」が、2020年08月31日をもってその長い歴史に幕を閉じることが決定したのです。これにより、徳島県は全国で初めて百貨店が存在しない「空白県」となる事態を迎えようとしています。
SNS上では「子供の頃の思い出が詰まった場所がなくなるのは寂しい」「徳島駅前のシンボルが消えてしまうなんて信じられない」といった惜しむ声が数多く寄せられています。長年、地域の顔として親しまれてきた存在だけに、その喪失感は計り知れないものがあるでしょう。
しかし、そごう徳島店の千野史晴店長によれば、閉店の理由は決して「市場としての魅力」が失われたからではないようです。店長は徳島の消費者を「本質を見極め、高品質なものを愛する層が非常に厚い」と高く評価しています。実際に、他県の店舗が閉鎖に追い込まれる中でも、徳島店は粘り強く営業を続けてきました。
「外商」に支えられた驚異の得意客比率
驚くべきことに、そごう徳島店の売上の約4割は、わずか1割の「得意客」によって支えられています。これは、百貨店スタッフが直接お客様の自宅へ伺い商品を提案する「外商(がいしょう)」という特別なサービスの賜物です。この比率は、全国のそごう・西武系列の中でもトップクラスの水準を誇っています。
「外商」とは、いわばコンシェルジュのような専門スタッフによる対面販売のことです。都市部の店舗では一見(いちげん)さんが主流ですが、徳島では世代を超えて担当者と信頼関係を築く「上質な暮らし」の伝統が息づいていました。こうした特別な絆があったからこそ、一般層の消費が落ち込む中でも営業を継続できたのです。
ネット上では「外商さんがいなくなったら、どこで高級品を買えばいいの?」と不安視する声も上がっています。現在、2020年08月末の閉店以降も、これら大切なお客様へのアフターサービスや拠点をどう維持するか、本部との協議が慎重に進められている段階とのことです。
時代はEC(電子商取引)へ、変化する地方の役割
では、なぜこれほど熱心なファンに支えられながら閉店という道を選ばざるを得なかったのでしょうか。その背景には、急速に普及した「EC(電子商取引)」、つまりインターネット通販の存在があります。わざわざ店舗へ足を運ばずとも、スマートフォン一つで世界中の商品が手に入る時代へと変化したのです。
千野店長は「従来の百貨店ビジネスモデルに固執しすぎたことで、変化する市場のニーズに十分応えられなかった」と冷静に分析しています。地方都市ならではの豊かな購買力がある一方で、消費者の利便性に対する期待は、かつての百貨店という枠組みを大きく飛び越えてしまったのかもしれません。
私は今回の閉店を、単なる「衰退」ではなく「新しい消費スタイルの幕開け」だと捉えています。百貨店というハコがなくなっても、徳島の人々が持つ「良いものを求める心」は変わりません。今後は実店舗の体験価値と、デジタルの利便性をいかに融合させるかが、地方経済の鍵を握るのではないでしょうか。
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