2019年11月18日に就任したばかりのスリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ新大統領が、11月29日に最初の外遊先として隣国インドを訪れました。ムンバイでのモディ首相との会談は、国際社会から熱い視線を浴びています。なぜなら、ラジャパクサ氏は「親中派」として知られており、インドや日米との関係構築が注目されていたからです。
モディ首相は今回の会談で、スリランカの経済発展のために4億ドル(約440億円)、さらに深刻な社会問題となっているテロ対策として5000万ドルの「与信枠」を提供すると発表しました。与信枠とは、将来的な取引のために銀行や国が設定する融資の限度額を指し、いわば経済的なバックアップを約束する仕組みです。
SNS上では、この素早い支援表明に対し「インドの外交スピードが凄まじい」「中国への牽制が露骨だが、スリランカにとっては賢い選択」といった声が上がっています。モディ首相は「近隣諸国優先」という外交理念を強調し、最優先で絆を深めたいという強い意欲を隠しませんでした。
ラジャパクサ大統領も「真っ先に招待してくれたのがモディ首相で非常に嬉しい」と笑顔で応じ、両国の友好ムードを全力でアピールしました。2019年4月に発生した痛ましい連続爆破テロで傷ついた国内の治安維持や経済回復は、新政権にとって一刻を争う最重要課題といえるでしょう。
「一帯一路」をめぐるインドと中国の駆け引き
インドがこれほどまでにスリランカを重視する背景には、中国が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」への強い警戒感があります。インド洋の要衝に位置するスリランカに中国の資本が流れ込み、港湾や空港が軍事転用される可能性を、インドや日米は最も恐れているのです。
実はモディ首相、大統領選の結果が確定する前からラジャパクサ氏に祝辞を伝え、2019年11月19日には即座にジャイシャンカル外相を現地へ派遣しました。この並々ならぬ初動の速さからは、スリランカを中国側へ完全に引き渡さないというインド側の固い決意が読み取れます。
私個人の見解としては、ラジャパクサ大統領のこの絶妙な「バランス外交」は非常に高度な戦略だと感じます。中国からインフラ投資を引き出しつつ、最初の訪問先をインドにすることで周辺国の不安を払拭する姿勢は、小国が生き残るためのしたたかな知恵と言えるのではないでしょうか。
今後、スリランカが「自由で開かれたインド太平洋」の中でどのような役割を果たすのか、目が離せません。大国間のパワーゲームに翻弄されることなく、4月のテロから立ち直る平和な国造りが進むことを切に願うばかりです。
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